オンもオフも、タフ&上品な濃青パイロット時計が役立つ。

1930年代、飛行機黎明期に計器として生まれたパイロットウォッチ。さまざまな環境に対応すべく、耐磁性や堅牢性などに優れるタフな仕様が魅力だ。今回は上品な印象の濃いブルーのダイヤルを持つIWCとオリスの2本を紹介。ウイークデーのジャケットスタイルや、週末のバイク&自転車ツーリングにもハマるはず!

軍用観測時計から着想を得た視認性に優れる優秀デザイン。

航空計器の迫力をそのまま腕時計にした人気シリーズ、ビッグ・パイロット・ウォッチをベースに、ケース径を43mmにサイズダウンした“ビッグ・パイロット・ウォッチ 43”。視認性に優れる圧倒的にシンプルな表示は、原点となる1940年代の軍用観測時計から継承されている。カレンダーやパワーリザーブなどの表示がないので、上品な濃いブルーのダイヤルの美しさが際立っている。また5連ブレスを採用している点も、品のよさを後押し。自動巻き、SSケース&ブレス、ケース径43mm。119万9000円/IWC(IWC 0120・05・1868)

 機体が激しく揺れたり、太陽が明るく照り付けたりするコックピットで使用する時計に求められるのは、第一に見やすいこと。つまりパイロットウォッチは、正確に針を読み取るために、計器のようなシンプルなデザインが好まれる。
 そんな腕時計のパイオニアとなったのがIWCだ。同社は1936年に“スペシャル・パイロット・ウォッチ”を発表。視認性のよさに加えて、特殊な風防ガラスや耐磁性能、そして急激な温度変化にも耐えるハイレベルな時計として高い評価を得た。そして現代の“ビッグ・パイロット・ウォッチ 43”にも、そのDNAが受け継がれている。
 このモデルの魅力は、機能性だけでなくアクセサリー効果も高い点にある。注目すべきは、ベゼルを細くしてダイヤルを極力大きくしたそのデザイン。中央から放射状に広がる筋目模様のおかげで、腕時計の傾きや光のあたり具合でブルーに濃淡が生まれ、表情が美しく変化するのだ。またシンプルな三針かつ、インデックスがシンプルであるために、その輝きがよりいっそう引き立っている。
 空という冒険心をくすぐるフィールドの時計でありながら、ウイークデーのジャケットスタイルにも好相性。オンでもオフでも使いたい1本に仕上がっている。

細かい筋目仕上げの凹凸で光を乱反射させ、美しい濃淡の表情を引き出している
ケースの厚みは13.6mmと、かなり堂々たる存在感がある。大型リュウズは、オリジナルモデル(1940年代の飛行監視要員用時計)にインスピレーションを得たもので、グローブをはめたままでも操作しやすい
搭載するムーブメントは自社製のキャリバー82100。独自技術であるペラトン自動巻き機構を採用しており、連続駆動時間も約60時間を確保
明るく光る夜光塗料。12時位置に三角マーカーが入るのも、パイロットウォッチの特徴的なデザインだ

同シリーズのバリエーションにも注目!

IWCのパイロットウォッチの魅力は、1930〜40年代に生まれた当時の機能性やデザイン性、ラギッドな世界観を残したままモダンに進化させている点だ。スイスブランドだがドイツ語圏のシャフハウゼンという街に拠点を構えており、ドイツ的な機能美もある。すべて自動巻き、レザーストラップ、ケース径43mm。

ストラップとダイヤルを濃青で合わせた“ビッグ・パイロット・ウォッチ 43”。SS ケース。107万8000円/IWC(IWC 0120・05・1868)
アウターリングには分と秒が白で、インナーサークルには時がグレーでデザインされた“ビッグ・パイロット・ウォッ チ 43・スピットファイア”。このレイアウトでパイロットは文字盤をひと目見るだけで簡単に分と秒を読み取れる。チタンケース。116万500円/IWC(IWC 0120・05・1868)
“ビッグ・パイロット・ウォッチ 43・スピットファイア”のケースはアルミと鉄を含んだ特殊なブロンズで、標準的なものより硬度が約50%高い。ミリタリーグリーンのダイヤルとゴールドメッキの針が好相性。ブロンズケース。120万4500円/IWC(IWC 0120・05・1868)

1938年誕生の歴史的モデルに自社製ムーブメントを搭載。

端正できれいな腕時計を作り続けるオリ スは、パイロットウォッチの老舗としても知られており、1938年に大型リュウズを備えたビッグクラウンを発表。この“ビッグクラウン ポインターデイト キャリバー403”は、自社製ムーブメントを使用することで、オリジナルのアイコニックなデザインを現代的にアップデートしている。深みのあるブルーダイヤルとブラックのレザーストラップのまとまり感もよく、完成度が高い。自動巻き、SSケース、レザーストラップ、ケース径38mm。42万9000円/オリス(オリスジャパン 03・6260・6876)

 第一次世界大戦をきっかけに飛行機の性能が格段に向上した1930年代。そんな時代にパイロットウォッチが作られるようになり、オリスも1938年に“ビッグクラウン”を生み出した。80年以上も人気を博してきたロングセラーモデルに、最新の自社製ムーブメントを搭載した新作“ビッグクラウン ポインターデイト キャリバー403”の魅力を探っていこう。
 シグネチャーデザインとして特徴的なのは、大型のリュウズ(英語ではビッグクラウン)。パイロットがグローブを着けた状態でも操作しやすくするためのディテールだ。またポインターデイトという針式カレンダーや、柔らかなドーム型の風防もレトロな雰囲気を作り出しているのもポイント。こういった歴史的なスタイルを踏襲しながらも、ギザギザ状の装飾が施されたコインエッジベゼルから鏡面仕上げに変更したり、6時位置にスモールセコンドを採用したりすることで、印象を一新させている。
 耐磁時計の規定を上まわる耐磁性や、上空の過酷な環境でも耐えうる堅牢性、5日間のパワーリザーブを備えた本作は、濃青フェイスで品よく仕上げている。街のジャケットスタイルにもハマるし、バイクで颯爽と海沿いを駆け抜けるシーンにもピッタリだ!

針式カレンダーのポインターデイトは、オリスが得意としている機構のひとつ。三角針で日付を指し示すが、この赤が差し色として効いている
大きなリュウズで操作性が高い。なめらかな質感のベゼルとヘアライン仕上げのケースで立体感が生まれている
搭載されるムーブメントは、5年がかりで開発した自社製のキャリバー403。優れた耐磁性を備えるだけでなく、パワーリザーブは5日間で、精度も高いという非常に高性能な仕上がりだ
時分針とアラビア数字のインデックスに、夜光塗料を塗布。きれいに数字が浮かび上がる

同シリーズのバリエーションにも注目!

オリスの歴史を語るうえで欠かせないビッグクラウンには、ケースサイズやケース素材、ダイヤル色やストラップなどさまざまなバリエーションが存在している。メインモデルは自社製ムーブメントを搭載しているが、こちらの汎用ムーブメントを使ったモデルなら20万円台とこなれた価格帯になるのも嬉しい。すべて自動巻き、レザーストラップ。

くすみのあるブルーダイヤルとブラウンのレザーストラップがレトロ感をうまく演出する“ビッグクラウン ポインターデイト”。SSケース、ケース径40mm。20万9000円/オリス(オリスジャパン 03・6260・6876)
使うほどに味わいが増していくブロンズ素材をケースに使用した“オリス ビッグクラウン ブロンズ ポインターデイト”。ブロンズケース、ケース 径40mm。25万3000円/オリス(オリスジャパン 03・6260・6876)
廃棄されていた鹿の革を再利用するサステイナブルなブランド、チェルボボランテのレザーストラップを採用したモデル“ビッグクラウン×チェルボボランテ”。SSケース、ケース径38mm。25万3000円/オリス(オリスジャパン 03・6260・6876)


写真/正重智生(BOIL) 文/篠田哲生

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