1930年代、飛行機黎明期に計器として生まれたパイロットウォッチ。さまざまな環境に対応すべく、耐磁性や堅牢性などに優れるタフな仕様が魅力だ。今回は上品な印象の濃いブルーのダイヤルを持つIWCとオリスの2本を紹介。ウイークデーのジャケットスタイルや、週末のバイク&自転車ツーリングにもハマるはず!
軍用観測時計から着想を得た視認性に優れる優秀デザイン。
機体が激しく揺れたり、太陽が明るく照り付けたりするコックピットで使用する時計に求められるのは、第一に見やすいこと。つまりパイロットウォッチは、正確に針を読み取るために、計器のようなシンプルなデザインが好まれる。
そんな腕時計のパイオニアとなったのがIWCだ。同社は1936年に“スペシャル・パイロット・ウォッチ”を発表。視認性のよさに加えて、特殊な風防ガラスや耐磁性能、そして急激な温度変化にも耐えるハイレベルな時計として高い評価を得た。そして現代の“ビッグ・パイロット・ウォッチ 43”にも、そのDNAが受け継がれている。
このモデルの魅力は、機能性だけでなくアクセサリー効果も高い点にある。注目すべきは、ベゼルを細くしてダイヤルを極力大きくしたそのデザイン。中央から放射状に広がる筋目模様のおかげで、腕時計の傾きや光のあたり具合でブルーに濃淡が生まれ、表情が美しく変化するのだ。またシンプルな三針かつ、インデックスがシンプルであるために、その輝きがよりいっそう引き立っている。
空という冒険心をくすぐるフィールドの時計でありながら、ウイークデーのジャケットスタイルにも好相性。オンでもオフでも使いたい1本に仕上がっている。
同シリーズのバリエーションにも注目!
IWCのパイロットウォッチの魅力は、1930〜40年代に生まれた当時の機能性やデザイン性、ラギッドな世界観を残したままモダンに進化させている点だ。スイスブランドだがドイツ語圏のシャフハウゼンという街に拠点を構えており、ドイツ的な機能美もある。すべて自動巻き、レザーストラップ、ケース径43mm。
1938年誕生の歴史的モデルに自社製ムーブメントを搭載。
第一次世界大戦をきっかけに飛行機の性能が格段に向上した1930年代。そんな時代にパイロットウォッチが作られるようになり、オリスも1938年に“ビッグクラウン”を生み出した。80年以上も人気を博してきたロングセラーモデルに、最新の自社製ムーブメントを搭載した新作“ビッグクラウン ポインターデイト キャリバー403”の魅力を探っていこう。
シグネチャーデザインとして特徴的なのは、大型のリュウズ(英語ではビッグクラウン)。パイロットがグローブを着けた状態でも操作しやすくするためのディテールだ。またポインターデイトという針式カレンダーや、柔らかなドーム型の風防もレトロな雰囲気を作り出しているのもポイント。こういった歴史的なスタイルを踏襲しながらも、ギザギザ状の装飾が施されたコインエッジベゼルから鏡面仕上げに変更したり、6時位置にスモールセコンドを採用したりすることで、印象を一新させている。
耐磁時計の規定を上まわる耐磁性や、上空の過酷な環境でも耐えうる堅牢性、5日間のパワーリザーブを備えた本作は、濃青フェイスで品よく仕上げている。街のジャケットスタイルにもハマるし、バイクで颯爽と海沿いを駆け抜けるシーンにもピッタリだ!
同シリーズのバリエーションにも注目!
オリスの歴史を語るうえで欠かせないビッグクラウンには、ケースサイズやケース素材、ダイヤル色やストラップなどさまざまなバリエーションが存在している。メインモデルは自社製ムーブメントを搭載しているが、こちらの汎用ムーブメントを使ったモデルなら20万円台とこなれた価格帯になるのも嬉しい。すべて自動巻き、レザーストラップ。
写真/正重智生(BOIL) 文/篠田哲生