秋晴れの週末。名古屋の市街地にヴィンテージカーやクラシックカーなど、こだわりのクルマとそのオーナーたちが集結。普段はなかなかお目にかかれないクルマの数々に目を奪われていると、始まったのはマリンGPと呼ばれるラリーレースだった。
マリンGPとは、ヒストリックカーミーティングという大会を前身とする市街地ラリーのイベント。有名なラ・フェスタ ミッレミリアなど、ヴィンテージカーやクラシックカーのみが出場できるレースが多い中、老若男女問わず、ファミリーでも楽しめるイベントを目指して生まれ、今年で早くも3回目を迎えたレースだ。
この大会への出場資格は単純明快、“クルマ好きであること”と“海好きである”こと。それだけ。市街地を走るラリーレースといえども、競い合うのはスケジュールの一部で行われるPC競技と言われる部分のみ。残りは、参加者全員で楽しく走ることを目的としている。
PC競技については後ほど触れるとして、楽しく走ることを目的としながらも順位をつけている理由としては、何にもないとただのツーリングになってしまうから。競技は競技でしっかりやって表彰して、それ以外の部分では順位関係なく全力で楽しむ。そういうイベント作りを心がけているそうだ。
全体の流れとしては、1台ずつクルマの紹介を受けながらスタート。市街地をゆっくりと走りながら、1箇所目の集合場所、PC競技の会場となっている幸田サーキットへと向かう。ここで順位を決定するPC競技を行い、終了したクルマから随時次の集合場所へ移動していく。続いて集まったのは、海が目の前にある宮崎漁港だ。ここでおいしいランチを全員で頂きながら選手同士の交流を計り、たっぷりとコミュニケーションをとったところで最終目的地のNTPマリーナりんくうに向かうという流れ。
ちなみに、マリンGPという大会名からも分かる通り、海をテーマに掲げているイベントなので、ランチタイムが海の見える場所となっている。
走っている最中も海の近くを通ることもあるのだが、防波堤があって海が見えないことも多く、食事などゆっくりできる時間を海の近くにすることで、いつもと違う環境を楽しんでもらいたいという思いで選ばれた場所なのだ。
ちなみにこの大会は、今回を含めて過去3回の開催がすべて名古屋で行われている。とはいえ、このマリンGPは今後大きくなっていく可能性を秘めているという。というのも、実際にはコロナ禍で実現しなかったようだが、金沢や滋賀で開催しようという話もでていたそう。開催期間も今年まではコロナの影響も考えて1デイで開催だったが、来年以降は2デイ、3デイの大会にまで規模を拡大していきたいと考えているとのこと。
では、ここで総合順位を決めるPC競技について簡単に説明しよう。PCはヴィンテージカーレースの盛んなイタリアなど、世界ではメジャーな競技。ミッレミリアなど、有名な世界中のレースで共通して行われている種目だ。30mを6秒きっかりで走るみたいなお題が出され、6.00を叩き出すような人が優勝となる。ここで重要なのは、スピード競技ではないこと。だからこそ、古いクルマから現代のクルマまである意味、平等。もちろんドライバーの年齢や性別も順位に影響しない。そういう競技なのだ。
今回のマリンGPでは全部で8PC(回)開催された。通常は3〜5PCくらいが標準的な回数なので、非常に多い方だ。どうやら、試合会場に幸田サーキットというレース場を使用したことにより、連続で8PC分計測することができたため、思い切った回数になったという。
ではいったい走る長さとか秒数は、どうやって決めているのだろうか?
主催者側の経験に基づいて設定しているようだが、重要なのは、クルマを痛めない、女性の運転でも間に合う、しっかりと楽しめる、それを意識した距離と時間。ある程度平等の中で、どんなクルマでも戦えて、その中で順位がつけられるということを1番大事にしている。
そんな大会に出場するにあたっては、前述した通り、クルマ好きであればOK。
クルマ自体の車種や年式に縛りはない。
ただ、現代のクルマばかりになってもつまらないので、70年まで(クラシック)が20台、70年〜2000年まで(ネオクラシック)が20台、2000年〜現代までが20台とバランスをとっているそうだ。なお、今回の出場台数は60台。
エントリー費用は1台あたり14万円。食事もオフィシャルウエアなど、すべて込み。新たにかかるのは高速代くらい。
ちゃんとした大会でありながら、さまざまな車種が出てくるという大会自体が非常に珍しく、出るのも厳しい大会が多い中で、間口を広げている大会のひとつなのだ。まるで異種混合戦みたいな大会。それがマリンGPだ!