メンテナンスや掃除、保管の作業を含めて楽しいのがスニーカーライフってもの。 手をかけた分だけ新品同様のキレイさを保てるし、長く使うことは最近のトレンドとも合致している。 コレクターのやり方や、プロの技術も取り入れながら、大切な1足を長持ちさせよう。
教えてくれたのは…?
池田工芸 ディレクター 原田尚輝さん(右)
スニーカー収集歴は約30年。コレクションは400点を超える。独学で始めたスニーカーカスタムは、今では本業に
ワンバイワンイコール 店主 金岩 宏さん(左)
スニーカーのオリジナルカスタムやリペアが専門。北区にあるアトリエでは、予約制でスニーカークリ
ーニングも承っている
コンディションを保つためには、日々のメンテナンスが大事!
「スニーカーは人生ですね。空気と同じで、なければ困るもの。自分のテンション を上げてくれるのもスニーカーですから」(原田さん)。「持ってるスニーカーを数えたこと? うーん……。正直、あり過ぎ
て把握できてないですね」(金岩さん)。 スニーカーを愛するがゆえに、カスタムスニーカー作りを始め、それを仕事に してしまった2人。そんな彼らのスニーカーメンテナンス方法とは? 一体どんなことを日常的にしてるのだろうか 「常に同じものを履かず、一週間の中で 3〜4足を履くことが大事。そうすることで汚れや傷みの防止になる。汚れたときは、除光液やメラミンスポンジを使って落としていますね」(原田さん)。「僕の場合は、めちゃくちゃ大事にしている靴は極論だけど、履かないに尽きます(笑)。 ただ、いつも履くスニーカーは、外から帰ってきたときにブラッシングでホコリや土を落としたり、消しゴムで汚れを落としたり。雨が降りそうだったら防水スプ レーをかけたり。そういうひと手間を続 けていれば、ずっときれいな状態をキー プできる。そうすることで、 30分〜1時間くらいかかるようなクリーニングはごくたまにで済むんです(金岩さん)」。スニーカーのメンテナンスは、かける時間や汚れ具合によって内容がガラリと変わる。ここでは、手に入れてすぐから実践できる汚れの予防法と、時間をかけて行うケア方法を2人に教わろう。
スニーカーの痛みを予防する。
スニーカーの箱を開けてすぐできる予防法を紹介。4つのポイントを押さえておけば、買ったままの状態を10年以上長持ちさせることだって夢じゃない!?
①防水スプレーで急な雨にも対応。
20〜30㎝離して吹きかけよう。
「シリコン性とフッ素性のものがあって、オススメはフッ素タイプ。シリコンはコーティングされてしまうので、レザー素材だと呼吸できないんです」(金岩さん)
お出かけ前にサッと吹きかけて、傷みを予防することで長持ちさせよう!
「総合的に汚れから守ってくれるプロテクトスプレーが便利。水ジミや紫外線による色褪せを防ぐうえ、ホコリや油分からも守ってくれます」(金岩さん)
②常にシューキーパーを入れて保管。
履きジワや形崩れからスニーカーを守る。
履いた後そのままにしておくと、シワや劣化の原因に。「湿気を吸い取ってくれる木製のシューキーパーがベター。スニーカー専用のものでなくても、紳士靴用のシューキーパーで全然問題ないです」(金岩さん)
③ヒールプロテクターをペタリ。
かかとに貼るだけで寿命が長持ち。
ヒールプロテクターが登場したのは、比較的最近。「スニーカーマニアには昔からの愛用者も多いのですが、靴用補修材のシューグーをソールに塗るのも手軽でおすすめです!」
④インソールを変えれば、ロゴを守れて歩きやすい。
インソールを交換するか、 もともとのものに重ねて使 う。「オススメは傾斜付きのもの。歩きやすいです。コ ンバースのカップインソー ルや、ニューバランスのものもフィット感があって調子いいですよ」(原田さん)
100円ショップのものを試すのもアリ!
「店によっては 30種類以上を取り揃えてるところもあります。クッション性の高い靴だと、歩いたときに沈み込むから硬めがいいなとか、自分の好みやスニーカーの性質に合わせて探してみるのもおもしろいですよ」(原田さん)
休日に自分でメンテナンスする。
メンテナンスといっても特別な道具は使わないし、専用のケアグッズがなくても衣料用洗剤や普通の石けん、消しゴムなどで代用可能。週末にじっくり取り組もう。
基本のお手入れはこの6つのステップ!
大事な靴を丸洗いするのはちょっと抵抗がある人や時間がとれない人は、この工程を行うだけでも十分きれいになる。ほぼすべてのタイプのスニーカーに共通するケア方法を学ぼう。
①ふだんのお手入れでもブラッシングはマスト!
「特にレザースニーカーは表面の水分をホコリが吸収し、レザーの乾燥の原因に。馬毛ブラシなどで毎日ブラッシングを」(金岩さん)
②ソールにつまったゴミを取り除く。
つまようじなど、先の尖ったもので溝の小石やゴミを取るときれいになるうえに水洗いもしやすい。「綿棒も便利です」(原田さん)
③くるりと巻いたガムテで内側をペタペタ。
ガムテープで汚れを取る。写真のように内側のホコリを取るほか、インソールも取り出して表面の汚れを取る。掃除機で吸うのもOK
④洗剤を入れた水で靴ひもを2度洗い。
「洗濯機よりも、手洗いの方が傷みにくい。薄い色の靴ひもは、ひも通しの金具が錆びて黒くなりやすいので重点的に」(金岩さん)
⑤軽い汚れであればワイプでも十分!
アッパー全体を優しくぬぐう。「出先でもサッと汚れを落とせるので、スニーカー専用のクリーナーワイプはあると便利」(金岩さん)
⑥ソールの汚れは消しゴムで落とす。
「スニーカー専用消しゴムは傷みにくいのですが、普通の消しゴムでもOK。角の尖った部分で縫い目の細かい汚れも落とす」(金岩さん)
写真/三橋優美子