【#ネタT連載】古着じゃないのに古着っぽい。ユースじゃないのにソニック・ユース。

話をしなくても心地いい関係は、密接な心の距離感があってこそであり、その場を楽しむためには、やっぱり話のネタはあった方がいい。ナイスなTシャツを着ていれば、きっとツッコんでくれるんじゃないか、という本企画(題して、ネタT)も今回で4回目。

登場してくれたのは、遊びの効いたバイイングと別注センスで多くのファンをトリコにするビームスでプレスを務める丸さん。続けてみて思ったのは、これって他者のツッコミ待ちってことだ。話のネタになるTシャツ。みなさん、これ着ている人をみたら、話を振ってください。

丸 海都さん(ビームス プレス)・趣味はサッカーやキャンプ、フェス。音楽は幅広く聴くタイプ
 

――そのシャツ、ボタン掛け違えてないですか?

これはこういうやつなんですよ、ランダムでつけるというデザインなんです。

――へえ〜。ちなみに、音楽はランダム再生派ですか?

ちゃんとプレイリストを作る派ですね(笑)。アーティストしばりで聴かないで、ドライブだったらドライブ用の、出勤だったら出勤用のプレイリストを作るんですよ。

――マメですね。曲の振り分けってどうしてるんですか?

もうテンションですね。たとえば、「このBGMいいな」って思ったら、シャザッて(Shazamを利用して)、その気分に合うプレイリストに追加していく感じ。

――やっぱり、マメだ。ボタンはランダムなのに。

古着バンドTの着古し感が今の気分。

インソニア プロジェクト/ソニック・ユース プリントTシャツ 1万3200円

――さっそくソニック・ユースに食いついていきたいところですけど、インソニアってついにTシャツも出し始めたんですね。

インソニア プロジェクトと銘打って、カットソーとニットに特化したレーベルを展開し始めたんですよ。最近は、アーティストのグラフィックにフィーチャーしたTシャツを毎シーズン出していて、過去だとエミネムやジャミロクワイとかをやっていましたよ。

――で、今年はソニック・ユースだと。

昨年はビースティ・ボーイズをやって、今年はソニック・ユースを。

ーーこのへんの80後半、90年代のバンドってコンセンプチュアルなアルバムが多かったから、ジャケ写も凝ってる印象があって。やっぱり雰囲気出ますね。

特にソニック・ユースは、Tシャツにプリントしてあるだけで画になりますね。『ウォッシング・マシーン』も作っているんですけど、自分の中であまり知られていないところを選びたいというアマノジャク的な部分もあって、このへんを。しかも、ジャケ写だけでなく、当時のライブのフライヤーからデザインを引っ張ってきたりもしているらしい。

――GOOとか、穏当にいかない、この攻めたセレクトは誰がやっているんですか?

グラフィックの選定は、ブランド側が決めています。ビームスではエクスクルーシブカラーとして、ボディの色を変更してリリースしているんです。今、古着界隈だと、バンドTがかなり高騰しているじゃないですか? 古着では手を出せないけど、これなら……という願望も込めて。

――インラインとボディのカラーが違うわけですね。しかも、カラーがそれっぽい感じになってる。

たとえば、この『ダーティー』の黒とか、じゃっかん着古したような色味にしていたり、ステッチワークもヴィンテージ感がある。グラフィックも古着だとクラッシュしていたりするんですけど、それがちゃんと残っているのは魅力的なところだと思うんです。

――プリントもいい感じにやつれているのがいいですよね。新品というより、古着的なテンションを残している感じ。

ちょっと割れている感じがあって。自分も実際に持っているんですけど、洗濯してもなかなか剥げないんですよ。

――今の古着バンドTのノリで着用できるのはいいですね。

ボディのサイズも大きすぎず、小さすぎずのほどよいゆとり感なのでちょうどいい。ヴィンテージだと、どうしてもサイズ問題はあるじゃないですか? めちゃくちゃいいグラフィックだったり、探し求めていたものでもサイズが合わないみたいな。

――たいていというより、9割ピタピタ。って考えるとファッションとして、この手段は非常にいい。残るはプライド問題ですね。

どれだけ許せるか、ですね(笑)。

――あと、インソニアといったら、やっぱりバックデザインを触れておかないとですかね。

背中部分にベルトが備え付いていて、こうやって、ロールしてコンパクトに収納できます、と。

――旅とか、収納には便利ですよね。

垂らしていても、謎めいたキャッチーさがありますね。

――ある程度の歳を重ねてくると、新しいものを掘り下げていくというより、過去を振り返るという傾向になっていて。やっぱりこの80、90年代のオルタナは今、自分にすごく刺さるんですよね。

僕もここらへんがけっこうプレイリストに入ってきますね。あと最近だと、’70sをよく聴きます。自分、マーベルの映画が好きで、その劇中歌がけっこうイケているんですよ。なかでも、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は特によくて、そっから’70sめちゃくちゃいいじゃんって掘り始めました。

オープニングでクリス・プラットがノリノリでレッドボーンの「カム・アンド・ゲット・ユア・ラヴ」を歌うところとか、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』で、戦っている後ろでグルートが踊っているときに流れるエレクトリック・ライト・オーケストラの「ミスター・ブルー・スカイ」も最高にいい。

――これから挿入歌とかもちゃんとチェックして観るようにします…。

J-POPの人気ランキングとかはチェックしていますけど、今のマイブームはここかなって。

――とはいえ、80、90年代から、だいぶ遡っちゃってるけどね(笑)。


次回、定番アイテムが好きになるということは、大人になったということ。です。

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