レコード愛を貫くコレクターの部屋。【パート6】

レコード好きと聞くとコアな音楽ファンのイメージがどこかあるけど、キッカケは意外と身近なところだったりする。齊藤さんもその一人。始まりはあの人気漫画だとか⁉ 僕らの周りにも思いがけないところにレコードへの扉はあるのかもしれない。

 

探究心と所有欲が生んだ
レコードに対する執着。

床に直置き&平積み、立てかけたものも滑り落ちてくる。まるでレコードに侵食されているような様子には、なぜか懐かしさすら感じる。「本当は厳選された10枚とかで、それについて熱く語れる、みたいなのがカッコいいと思うんですけど、欲しいものがどんどん増えちゃってついついこんな状態に……」

 

レコード棚には収まりきらず、まさかの平積み状態

 

齊藤さんが音楽好きになったキッカケは、漫画『ジョジョの奇妙な冒険』。第3部の最後に出てくるザ・ビートルズのテープが気になったそう。「それからCDでいろいろと聴くようになったけど、次第にレコードに興味が湧いてきて……。知り合いの家を訪ねたときにレコードを聴いていたんですが、その姿がなんかうらやましく思えて。本格的に集めるようになったのは2011年ごろかな」

 

部屋にはレコード収集のキッカケとなった、『ジョジョの奇妙な冒険』の作者、荒木飛呂彦先生の直筆サインも飾られる

 

当時は現在のようにレコードが注目されている時代ではなく、価格も良心的。コレクションを始めるにはちょうどよかったという。「たとえばヴェルヴェット・アンダーグラウンドの3枚目とか、ピンク・フロイドの1枚目。同じ作品を何枚も持っていますが、発売された国やプレスされた工場によって、デザイン、音圧、ミックスが違ったり、ボーナストラックが入っていたり。その違いを知ると実際に聴いてみたくなるし、集めたくなるんですよ」この探究心はサブスクなど、データでの音楽鑑賞では満たせない領域だ。

 

ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの3枚目だけでも10点は所有している

 

「やっぱり生音のよさ、モノとして所有する嬉しさがレコードにはある。かといって、この部屋の状態は本意ではないんですけどね……(笑)」

 

「正直、機材にこだわりはない」とのこと。コチラのターンテーブルは、近所の電気屋で5000円ほどで買ったという

 

マイベストはこの1枚!

『マッカートニー(トルコ盤)』
ポール・マッカートニー

1970年に発売された初のソロアルバム。しかし世界的に知られるジャケットとは異なるデザインだ。「トルコの1stプレス盤ですよ。ディスクユニオンで一時期4万円近くしたが、気づくと半額だったので買いました」。帯は日本版のものを取り付け

 

 

話を聞いたのは……
齋藤辰也さん
会社員・DJ

1989年生まれ。チル・ブランクヘッド名義でDJ活動に勤しむ。年に1回のDJパーティ、コーズィ・インサイドを主宰しているという


photo : Hiroki Nakayama(IL NIDO.STUDIO), Tomoo Shoju(BOIL), Yuya Yoshimoto text : Shuhei Sato edit&text : Yuta Yagi

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