「圧巻パフォーマンス力、ライヴシーンで釘付けになる注目若手アーティスト」ミュージックライフスタイルメディア編集長・江藤勇也の2023年をSpotifyまとめとともに振り返る。

オーディオストリーミングサービスSpotifyが、例年、年末に公開する「Spotifyまとめ」。

2023年によく聴いた曲を集めた自分だけのプレイリスト「My Top Songs 2023」では、この1年でどんな音楽を聴いたか、振り返ることができる。

Fine Onlineではアーティストや編集者、サーファー、モデルなど、各業界のキーパーソンにSpotifyまとめから今年1年を振り返ってもらった。

第9回目は、ミュージックライフスタイルメディア『DIGLE MAGの編集長の江藤勇也が登場。

音楽メディアの編集長として、メディア業務に留まらず、ライブイベントの企画やアーティストのフックアップを行う彼。メディア運営をしながらも、忙しなくライブやフェスに通う彼は2023年、どんな音楽を聴き、どんな日々を過ごしていたのだろうか。

江藤勇也

1986年生まれの千葉出身。神田外語大学卒。『DIGLE MAG』のファウンダーで編集長兼UI/UXデザイナー。音楽に於いては日本のインディシーン全般に精通している。日本最大の音楽フェスメディア「Festival Lifeも運営しており、国内、海外の音楽フェス情報にも詳しい。

今年はアフターコロナということもあり、ライヴイベントやフェスといったイベントがこれまで以上に活性化した年でした。僕が編集長を務めるミュージックライフスタイルメディア『DIGLE MAGでも、アーティストへのインタビュー記事はもちろん、今年はライブイベントを7本開催し、紹介したいアーティストをリアルで観ていただく機会を作ってきました。

その中でも、Spotifyまとめをみながら、2023年に僕が聴いたアーティストを振り返っていきたいと思います。

トップアーティスト

トップに入ったアーティストGateballers

このバンドはギターヴォーカルで、作詞作曲もしている濱野夏椰くんの愛のあるメッセージとメロディのよさがとにかくかっこいいんです。ただ愛を語るのではなく、芯があって、ロックンロールで。

しばらく活動を止めていたみたいなんですが、今年はEP未来から来た人」、シングル「花とゆめ」をリリースし、どちらも素晴らしくて、新曲を聴くと芋づる式に過去の他の曲も聴くという循環で、とにかくたくさん聴きましたね。

8月には僕ら主催のライブ企画「DIGLE SOUND Liveにも出てもらいました。久しぶりライヴを観ても、相変わらずとてもかっこよく、グッと惹きつけられましたね。

2位にランクインしたのはMaphieというラッパーです。彼を知ったのは、コロナ禍にインターネット上でやりとりをしたのがきっかけだったと思います。はじめて聴いたのは「Living on Mars」という曲で、疾走感のあるトラックとリリックに響くものがあったんですよ。なのでその後も動向を追いかけていました。今年セカンドアルバム『FORUM』をリリースしたんですが、等身大な詞もかっこいいし、アルバムとして世界観が仕上がってて、作品として美しかったんですよね。このアルバムで特によく聴いていた楽曲「Blind」は、前奏から軽やかなトラックをベースに展開されていくんですけど、音の使い方が面白くて、サウンドスケープ的に霧に包まれた南国のような感覚というか……靄のかかったようなフワッとした感じが気持ちよくてよく聴いていました。

羊文学は今年大活躍したアーティストの一組ですが、メディア立ち上げ初期彼女たちが「1999」をリリースしたぐらいの時期に連載を持っていただいた縁もあってその後も常に注目していました。このバンドが出す楽曲は、毎作品、完成度が高くて、それに加えて他のアーティストにはない独特の力強さがあるというか。日本の音楽シーンにはもう欠かすことのできない存在ですよね。

今年は海外のフェスにも行ったのですが、その中で香港の『Clockenflap』に足を運んだ際に、羊文学が出るというので、ステージに行ってみたんです。

ノリがわかりやすいダンサブルな系統ではなく、しっかり曲を聞かせるタイプの日本詞の曲が海外の方にどう受け入れられるのか、気になって観に行ったら、ステージはパンパンのお客さんで、しかも感動のあまり手を合わせて聴いている方もいたりして、あの光景は忘れられませんね。全然日本の音楽シーンにも希望があるということを改めて目の当たりにして、自分も音楽メディアに携わる身として勇気づけられましたね。今後も追いかけたいアーティストの一組です。


眞名子新さんは芯がありながらも心に染み入る歌声で、メロディのセンスが抜群にいいシンガーソングライターです。ナスティハウスという曲を一聴しただけで歌の情景が浮かぶような解像度に心を掴まれてしまって、小田原で主催したイベントにも出ていただきました。初めて知ったであろう参加者の人達もその歌声に酔いしれていて。今後の活躍が楽しみです。

そして今年各方面で快進撃をみせたオルタナティブロックバンド・鋭児。今年は彼らの年と言っても過言ではないほど、たくさんのイベントに出ていて、その躍進っぷりたるや末恐ろしいですね。バンド自体がストリートでのセッションからはじまっているのもあり、強靭なライヴバンドで、毎回みるたびに面白さがあるんですよね。そんなバンドサウンドに乗って暴れまわる、ボーカルの御厨響一くんのカリスマ性は衝撃的です! もちろん僕らのライヴ企画にも出てもらったのですが、抜群のパフォーマンスをしてくれましたね。来年もヘビロテ間違いなしのアーティストです。

トップソング

最後に、トップソングの1位にランクインしたHOMEの「Lucy」。

HOMEは最初、ライブ映像がSNSでバズって、バンドの名前を覚えていたのですが、なかなか曲が出ないなと思っていたんですよね。それで今年やっとLucy配信されて改めて聴いたら最高でした。ノスタルジックを感じさせる80sライクなサウンドなんですが、しっかり今の音に昇華されていて、どんどんハマっていったというか普段彼らは沖縄なのでなかなか見れないですが、可能な限り東京のライブは足を運びました。パフォーマンスも抜群にクールで、スタイルも独特でかっこいいし、きっと来年は音楽好きから伝播して、フェスやイベントに引っ張りだこになること間違いないと思います。


2023年は、海外も合わせて17本ものフェスに行き、メディアとしても主催ライヴを7本とたくさんできたので、とても充実した1年だったと思います。シーンの動きとしてはアジアの音楽の勢いが目立っていて、アーティストの来日も多かったですし、日本のアーティストもアジア他国との交流が今までより多かったのではと思います。

おそらく来年はこの流れがさらに加速していくので、僕も音楽とテック業界に携わる身として微力ですが勢いづくアジアの音楽シーンに日本の音楽をより接続できるように「DIGLE SOUND」というプレイリストブランドの成長やweb3AIなどテクノロジーを駆使した発信などをしっかり進めていきたいと思っています。

また、来年の春頃にメディアとしても面白いと持ってもらえるようなプロジェクトがスタートします。今後も音楽リスナーにもアーティストにも面白いと思ってもらえるチャレンジしていきたいですね。


写真・文/高山

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