【American Automobile!】1965年式 シボレー コルベット C2

300台以上のクルマを乗り継いできたIKURAさんがクラシックなアメ車の魅力を語る本連載。そんな彼のメガネに叶うさまざまなヴィンテージカーとは? 今回はアメ車におけるアイコンと言っても過言ではない、極上&伝説の1台だ!

 

今回のヴィンテージカーはこちら!
1965年式 CHEVROLET/CORVETTE(C2)
シボレー コルベット C2

 

30年の歳月を経ても
再び欲しくなる超名車。

なめらかな流線型のボディは、その名のとおり海の中を泳ぐエイのよう。1965年のコルベット C2(スティングレイ)は、IKURAさんもかつて所有した1台だという。「アメ車といったらコレって感じの1台。僕も30代のころに同じコンバーチブルに乗っていたけど、年齢を重ねた今また乗りたいな」。ヨーロッパの2シーターライトウェイトスポーツカーを意識し、1953年に誕生したコルベット。今回紹介するのはその第2世代で、1963年から販売されたものだ。「アメ車に興味を持ったら誰もが乗りたがるけど、価格的には誰でも乗れるものではない。今だと状態がいい個体で2000万円はくだらないんじゃないかな。しかも玉数が少ないから、今後下がることはないし……」。確かに、その流麗なボディとキビキビ走るV8エンジンは、もはや走る芸術。特にクーペタイプは、スプリットウィンドウという印象的なデザインで世界的に人気の高いモデルだ。

 

右:オーナー 根本 勝さん 左:IKURAさん

 

フロントからリアまで、流れるようなラインで構成されるFRPボディ。テールライトやバンパーのデザインも実に芸術的。「これ以上も以下もない、まさしく完成されたデザインだよ」

 

「でもまた乗るならコンバーチブルかな。そもそもコルベットの出自がそこだしね。ヨーロッパを意識したデザインとあって、洗練されているでしょ? だからコンバーチブルでもイヤミな感じがないんだよ」。そんなコルベットC2を30代という若さで乗りこなしていたというIKURAさん。その助手席に誰を乗せていたのか気になるところ……。「いやいや、ちゃんと奥さんを乗せてたよ! でもね。C2は座席が狭いから、どっちみちイチャイチャできない……(笑)」。とはいえ、カップルで乗ると絵になるクルマであることは確かだ。

 

V型8気筒の327エンジン。のちに396ビッグブロックが導入される。「普段から街乗りでも楽しみたいならスモールブロックで十分。特にこれはすごく乗りやすく仕上げてあるんだ」

 

最高にクールでいながら
日常での使い勝手もよし。

まさにアメ車における象徴であり伝説的な1台といえるコルベット C2(スティングレイ)だが、実は実用性にも優れている。日本の狭い道路でも難なく走れるコンパクトサイズだからだ。「全長4.5m以下だから都内でも全然走れちゃう。駐車場問題もなし! といってもエンジンは5リッター超えで253馬力あるけどね……。おまけにボディは金属じゃなくFRP製だから車重はわずか1.3トン。デザイン性と走り、そして実用性も備えるとなれば、そりゃ人気だよね」。

 

ボディは軽量にして強度もあるFRP製。253馬力のスモールブロックエンジンで、軽快な走りに。「金属じゃないから錆びないのが利点だけど、ぶつけたら修理代が高いので注意(笑)」

 

その魅力は、さらに内装にも及ぶ。「スポーティな外装に対して内装は意外とシックでしょ? イキった感じがないからオヤジが乗ってもしっくりくるのよ。C2は基本的にオリジナルのまま乗る方がいいと思ってる。たまに太いタイヤ履かせるためにオーバーフェンダー付けちゃう人もいるけど、それだとこの美しいデザインが崩れちゃうんだよなぁ……」。イラストレーターであるオーナーの根本さんも、傷んだレザーシートを張り替える際、オリジナルの色と質感を忠実に再現したという。

「エンジンまわりもシンプルでいいよね。キラキラしたクロームで飾るのは僕ぐらいの年齢になるとさすがにね。あ、クロームカスタムを流行らせたの自分だったな(笑)」とIKURAさん。何歳になっても乗りたくなるこのクルマ。手に入れたら手放す人が少ないという点も納得できる。

 

シンプルにまとまっているメーターデザイン。「50年代ほど華美じゃなく、70年代ほど整然としていない、60 年代のアメ車らしい男っぽさと洗練さを両立したデザインは色褪せない」

 

C2 から採用されたリトラクタブル・ヘッドライト。よりスムーズなラインでスポーティな印象が高まった。「開くとかなり印象が変わるね。どこか可愛らしい顔つきに。それがまたいい」

 

 

What is the keyword of this car?

60年代のアメ車

コルベットのほか、カマロやマスタング、シェベルといった現在におけるアメ車の伝説的なスポーツカーやマッスルカーが多く生まれたのが60年代。70年代に入るとオイルショックの影響もあり、非力化が進む。

 

 

 

 

Profile:
IKURA
これまで300台以上のクルマを乗り継いできた生粋のカーマニア。日本最大級のアメリカンカスタムカルチャーの祭典「アメフェス」の主催者でもある。そのほか、ミュージシャンやタレントとしても活躍している
HP:ikura61official.com/

photo : Tomoo Shoju text : Masafumi Yasuoka

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