静岡・朝霧アリーナで開催された朝霧JAM。富士山のふもとに広がる芝生のフィールドには、早い時間からテントやチェアが並び、のんびりした空気が広がっていた。雲が動くたびに光の強さが変わって、ステージの音と景色がそのたびに表情を変える。歩いているだけでコーヒーの香りやフードの湯気が混ざってきて、朝霧ならではの心地よさがそのまま流れる週末だった。ここではフィールドで出会ったスナップと、印象に残ったフードとライブを紹介する。



【スナップ編】
まずは出演アーティストを出番後にキャッチ!

出番直後のグソクムズのメンバーをスナップ。あったかいステージでした。「開放的で、お客さんのノリもすごく良かった時間。寒かったけど気持ちよかったです」。とコメントを残してくれた。
次に来場者のスナップをチェック!
芝生のフィールドには、それぞれの時間を楽しむための服装や道具が自然と集まっていて、歩くだけで朝霧らしい空気が感じられた。風に合わせて羽織るものを変えたり、ステージの合間にストールを巻いたりと、実用性とその人らしさがしっかり表れている。ここでは、会場で出会った装いをそのままスナップとして紹介していく。
01

深いネイビーのナイロンアウターにワイドパンツを合わせて、朝霧の湿気と冷気にちょうどいいアウトドアバランス。ストラップバッグを重ねた胸元がポイントになっていて、オレンジの編み込みが着こなしに動きをつくる。キャップで全体の重心を上げつつ、黒〜ネイビーの濃淡でまとめた落ち着いたフェススタイル。
お目当て:BIALYSTOCKS・柴田聡子(BAND SET)
02

メロディさんは白Tとデニムのシンプルさに、多色ストールの揺れを重ねて柔らかいアクセントづけ。耳元のロングピアスまで一体でまとまっていて、朝霧の空気に合う爽やかなバランス。AlexさんはHIATUS KAIYOTEの赤いツアーTを主役に、ブラックパンツとベージュのハットで色の強弱を調整。肩にかけたストールの柄も効いて、リラックスしつつも存在感のあるスタイルに。ふたりの色使いと柄の合わせ方が、会場でも目を引くカップルコーデ。
お目当て:HIATUS KAIYOTE
03

奎さんは、 モコッとした質感のフリース にブラックのベストを重ねて、防寒と収納力をしっかり確保したフェス仕様。落ち着いた色味の中で、ワンコの黄色いレインウェアがいいアクセントになっていて、視線を引き寄せる組み合わせ。真歩さんは、 パープルのフリースと花柄スカート のバランスがすごく柔らかい。ベージュのサコッシュとグレーのレインブーツでまとめて、朝霧の湿った芝にも対応した実用的なスタイル。全体的に“あたたかさ”と“フェスのリラックス感”がきれいに出ているカップルスナップ。
お目当て:んoon
04

龍弥さんは、赤Tを主役にしたアウトドア寄りのレイヤード。キャップとハーネスベストでアクティブ感をしっかり出しつつ、黒パンツで全体をすっきり整えていたスタイル。柚衣香さんは、チェックのシャツに刺繍入りのロングスカートを合わせたフォークロアなムード。深緑のニットフードや小物の色づかいが絶妙で、朝霧の山景色と馴染む雰囲気。ふたり並ぶと “鮮やか+クラフト感”のコントラストがくっきり出る、会場でもよく映えていた組み合わせ。
お目当て:んoon、柴田聡子(BAND SET)
05

ブラウン系のパターンが入ったフリースを主役に、ワイドな黒パンツでゆるっとまとめた空気感が朝霧にフィット。足元はトレッキング寄りのブーツでしっかり固めていて、芝の湿りにも対応できる実用的な選択。赤いキャップがスタイル全体の重心を上げつつ、丸メガネの雰囲気と合わさって軽やかな印象に。ゆるさとアウトドアのバランスがきれいに出たスナップ。
お目当て:YOGEE NEW WAVES
06

淡いブルーのパンツに、タイダイ調のリーボックのスウェットを合わせた軽やかなカラーリング。寒色のグラデーションが朝霧の曇り空とも相性よく、全体に透明感が出るスタイル。バンダナや三つ編みのアレンジで上半身に動きをつけつつ、ネックレスの重ねづけがアクセント。足元はダークトーンで落ち着かせて、甘さとアウトドアのバランスをしっかり取っていたスナップ。
お目当て:PEARL & THE OYSTERS
07

ネイビーのロンTとホワイトのパンツでつくる、抜けのあるコンビネーション。彩度を抑えた上半身に対して、腰まわりのバンダナをポイントにして動きと色を加えているのが印象的。バッグ代わりにショルダーで斜め掛けしたライトブルーのウインドシェルもアクセサリー感覚で効いていて、実用性と遊び心のバランスがちょうどいい。足元はダークトーンのシューズで安定させ、全体を軽快にまとめたスナップ。
お目当て:HIATUS KAIYOTE
08

白のウインドシェルにブラックのギアベストを重ねた、本気のフェス仕様。収納力と軽さを両立させつつ、インナーのオレンジが差し色としてしっかり効いている。テック寄りのグレーのパンツとトレッキングシューズで足元は安定感重視。キャップと丸サングラスの組み合わせも雰囲気がよく、全体のアウトドア感を引き上げていた。実用性と遊び心のバランスが取れた、朝霧らしいスタイル。
お目当て:HIATUS KAIYOTE
08

コースケさんは、白Tにアークテリクスのシェルを合わせたミニマルな組み合わせ。軽量シェルの質感とロング丈のレインスカートの相性がよく、天候が読めない朝霧で即戦力のレイヤード。黒のキャップとメガネで顔まわりを締めて、アウトドアに寄せつつクリーンに整えている。アズミさんは、黒のドットワンピースに同系色のロングシェルを重ねて奥行きを出したオールブラック。編み感のあるバケットハットがアクセントになり、重さが出ないバランスでまとまったスタイル。カラーを絞りつつ、素材とレイヤードでしっかり魅せるふたりのスナップ。
お目当て:HIATUS KAIYOTE、D.A.N.
10

忌野清志郎のグラフィックTを主役に、インナーの鮮やかなイエローを差し込んだ軽快なレイヤード。黒のバケットハットと細縁メガネで顔まわりをまとめて、ポップさと大人っぽさのバランスがちょうどいい。パンツは動きやすいテック寄りの一本を選びつつ、足元はキーン×バルのコラボシューズで存在感をプラス。カラーコード入りのシューレースもポイントになっていて、フィールドで映える仕上がり。好きな音楽と機能性をしっかり共存させたスタイル。
お目当て:忌野清志郎 ROCK’N’ROLL DREAMERS
11

多聞さんは、パープルのシェルに柄入りのワイドパンツを合わせた、アウトドア寄りのレイヤード。フードをかぶったシルエットが可愛く、全体の色味も落ち着いていて朝霧の空気に馴染む組み合わせ。晴香さんは、グレーのロンTにベージュの中綿ベストを重ねて、ふくらみのあるバランスに。パンツはゆるめのカーゴで統一しつつ、グリーンのバンダナが差し色として効いている。ふたりの実用性をベースにしたゆるいアウトドアスタイルが、芝のフィールドでも自然体で目を引くスナップ。
お目当て:FULLHOUSE、BIALYSTOCKS
【フード編】
フェスごはんにも注目! 朝霧を彩ったメニューは!?
会場のあちこちから湯気やスパイスの香りが漂ってきて、ライブの合間に自然と足が向くフードエリア。寒暖の差がある朝霧のフィールドでは、温かい料理や香りの立つ一皿がどれも魅力的だった。ここでは、実際に足を運んで印象に残ったフェス飯を紹介する。

朝霧高原の牛乳でつくる、まろやかなクリームシチュー。コクはしっかりあるのに重さがなく、外で冷えた身体にすっと入ってくる味。ごろっとした野菜とほろっとした肉がスプーンにちょうどよく、ライスとの相性も抜群。曇り空の時間帯に食べると、温度も含めてしっかり沁みる一杯だった。

スパイスの香りが立つバスマティライスを、ふんわりと炊き上げた本格派のビリヤニ。鶏肉のうまみがしみ込んだ黄色い部分と、白いライスの対比がきれいで、口に入れた瞬間の香り立ちがすごくいい。“流し”というスタイルで全国のイベントを回ってきた一杯だけあって、屋外で食べても味の輪郭がぶれない。東京・日本橋と静岡に店舗を構える「ビリヤニ炊爨室」が手がけるだけあって、スプーンが止まらなくなる仕上がり。

フジロックではおなじみの“きりざいめし”を、ここ朝霧でも発見。細かく刻んだ野沢菜と納豆を合わせたあの味に、温玉を落としたシンプルな一杯。混ぜるほどに香りと旨みが立ち上がって、疲れた胃にもすっと入るやさしさがある。重さがないので、ライブの合間にさらっと食べられるのも嬉しいポイント。朝霧の冷えた空気の中で食べると、より一層ほっとする定番メニュー。
【ライブ編】
ライブに熱狂。グルーブ感万歳の音が溢れた。
朝からどのステージでも、音が鳴るたびに人がゆっくり集まり、芝の上にできた輪が時間とともに広がっていった。昼は雲が動くたびに光の強さが変わって、同じ場所でも見える景色が少しずつ違って見える。風の中に混ざる低音やシンセの響きが会場の奥まで届いていて、歩いているだけでもライブが進んでいることが分かる一日だった。座って静かに聴く人や、曲が進むにつれて自然に立ち上がる人など、聴き方はそれぞれでも、音が変わると視線が同じ方向へ向かっていく。朝霧JAMらしい穏やかな空気の中で、印象に残ったアクトをここから紹介していく。
D.A.N.(10/18 RAINBOW STAGE)

約2年半の活動休止を経てステージに戻ったD.A.N. は、最初の一音から空気を落ち着かせるような立ち上がりだった。ドラムのドライなキックと、低く長く伸びるシンセの合わせ方がはっきりしていて、前にいた人が自然とテンポを拾いはじめる。序盤は余白の多い構成で、音が抜ける瞬間に視線がステージへ集まり、そこにベースが戻ると体の動きが少しずつそろっていく。派手な展開をつくらず、音の配置を丁寧に重ねていく流れで、野外の広さと風の冷たさがそのタイトさをより際立たせていた。最後の一曲が終わるころには、低音だけが静かに残るような余韻だった。
HIATUS KAIYOTE(10/18 RAINBOW STAGE)

夕方の光が落ちきる頃、ナイ・パームの最初の一声が空気を変えた。声の角度や湿度がフィールドとよく馴染んでいて、その上にベースとドラムが細かい拍を刻みながら厚みをつくっていく。序盤は緩やかに流れていたが、中盤でリズムが太くなると前方から体の揺れが広がり、立ち止まっていた人も自然とステージへ視線が向いていた。細かなニュアンスを拾える演奏で、曲が進むほどにグルーヴが深くなっていき、最後の一曲まで温度が落ちなかった。
GLASS BEAMS(10/19 RAINBOW STAGE)

夕方、雨が本格的に降り始めたタイミングで、ビーズのマスクをつけた三人が静かにステージに立った。最初の一曲は「Mahal」。硬質なベースのフレーズの上に、中近東やインドを思わせるギターがゆっくり揺れて、グルーヴが少しずつ大きくなっていく。中盤以降はベースがシンセやエフェクトも操りながら音の層を増やしていき、電子音のうねりと淡々としたドラムに合わせて、前方から順番に体が縦に動き出す感じがあった。雨で冷えた空気の中でも、反復するリズムに身を預けると自然と踊れる、朝霧のフィールドに合ったセットだった。
このほかにも、BIALYSTOCKSや鬼の右腕、んoon、PEARL & THE OYSTERSなどがそれぞれの時間帯で違う景色をつくっていて、柴田聡子(BAND SET)やFULLHOUSE のステージ前にも自然と人が集まっていた。どのアクトにも朝霧らしい流れがあって、フィールドのどこにいても音が続いていく一日だった。
ふもとっぱらでのキャンプも最高!

今回、編集部はふもとっぱらエリアでのキャンプ泊を実施。富士山の麓で澄んだ空気の中過ごす時間は何事にも変え難い。フェスをじっくり味わってから、自分のテントで思い思いの時間を過ごす人が多く、自由な空間が広がっていた。
朝霧JAMらしいゆったりとした時間の流れの中で、音と景色が重なっていく二日間だった。芝生のフィールドにはそれぞれの楽しみ方があって、スナップにもフードにもその場の空気がしっかり映っていた。ライブが進むにつれて人の動きが自然とそろっていく感じも心地よく、どの瞬間も“この場所ならでは”の体験になっていたと思う。朝霧の風景と音楽が素直につながる、気持ちのいい週末だった。
場内写真/Ⓒ宇宙大使☆スター ライヴ写真/ⒸTaio Konishi











