バックパックブランド、エイブルキャリーが日本で展開する理由。

「ロサンゼルスに4年間住んで思ったのが、アメリカとかは、主要都市でもクルマ通勤が基本なんです。だから、バッグは助手席とかに置けばいいだけなので、トートバッグで事足りてしまうんです。バックパックを背負うのは本当に山登りに行くときぐらい。ただ、日本や香港は電車やバスといった公共交通機関の利用が多いからか、バックパックを背負っている人が多い。そういった場面でも不快にならないものを作りたい―――」

香港発の新進気鋭バックパックブランド、エイブルキャリーは、そうした背景のもと、端を発して開発された。香港、アメリカに次ぎ、3か国目に本格的展開を決めたのが日本。今回は同ブランドでCEOを務めるジュリアン・チョウに、ブランドの始まりから、展開するバックパックの魅力、そして今後の展望をインタビューした。

値段が高いからクオリティが高いわけではないと気付いた。

「もとは、ジグザグというセレクトショップを香港で運営していて、海外のバッグブランドを多く取り扱っていました。そこで、現地のお客さんや観光客の方が普段どういったものを必要としていて、使っているのかをリサーチしていました。

また、バッグのよさをお客さんにオススメしなければいけなかったので、自分で高いものから安いものまで、ほぼすべてのバッグをテストしたんです。そのときに、値段が高いからといったすべていいわけじゃないなと。クオリティと値段がマッチしていないものもあるなと思いました。

思い返せば、18歳ぐらいの誕生日のときに、父からハイブランドのリュックをプレゼントされたんです。だけど、使用して3か月ぐらいのある日、バッグを持ちあげたら、ジッパーが壊れて中身が全部出てきました。こんな高いのに、『なんで!』と思いましたね。」

Able Carry - Daily Backpack X-Pac Black - Right
Able Carry - Daily Backpack X-Pac Black - Hanging
Able Carry - Daily Backpack X-Pac Black - Open
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デイリー・香港、アメリカで一番の人気を誇るモデル。20Lの容量を有しており、メインにはポケットを豊富に配置。小型デバイスやヘッドホン、ペンなど、キレイに収納できる。[H48×W28×D19㎝]2万2000円
 

そういった体験から、生まれたのがエイブルキャリーのバックパック。なぜ、日本での展開を決めたのか。「日本は香港と似て湿気が多く、みんなよく公共交通機関を使うので、そういったニーズで近しいのもあった。それとアメリカのYouTuberがエイブルキャリーのバックパックを紹介してくれて、その時、それを観た日本人の方が買ってくれたみたいで。日本で本格展開する前から、売上3番目の市場となりました。それも背中を押してくれました」。

どこでも使える、多様性を意識したデザイン

Able Carry-Daybreaker-Cordura Ripstop Black-Front
Able Carry-Daybreaker-Cordura Ripstop Black-Hanging
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デイブレイカー・生地に210Dのコーデュラナイロンを採用。560gの軽さを持ちつつ、収納力もしっかり。軽く登山に行くときにちょうどいい。[H50×W26×19㎝]1万5500円
 

エイブルキャリーのバックパックで展開するのは、デイリー、デイブレイカー、マックス、サーティーンの4モデル。自身のライフスタイルに合わせて、使い勝手のいいデザインがなされている。いわゆるアウトドアで用いられるバックパックとは少しばかり様相が異なるのも、同ブランドが狙ったところ。「デザインは多様性を重視して作っています。仕事だけではなく、スポーツする時や週末遊びに行く時など、どんなシーンでも変わらずひとつのバックパックで行けるようなデザインにして、色やロゴも派手にせず、街や服になじめるようにしている。

それに、ポケットも、人によってどう使うか違うと思います。とりあえずボンボン荷物を入れる人もいれば、ここは水筒用、ここはペン用、ここはノート用と決めている人もいる。両者にも快適に使えるようにいろんなポケットの種類を作って、アレンジできるようにしています」。

Able Carry-Max Backpack-Tarmac Black-Front
Able Carry-Max Backpack-Tarmac Black-Back
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マックス・X-PACと1000デニールのコーデュラナイロンを使用したタフな仕上がり。30Lの容量を持ち、仕事も遊びも旅行もこれひとつで完結するユーティリティなバッグ。[H52×W32×D20㎝]3万6000円
 

リモートワークやシェアオフィスの導入、フリーランスの増加など、社会的な潮流を踏まえつつ、こだわりのひとつとして挙げたのがPCスリーブ。「コワーキングスペースも流行って、いろんなところで働くようになり、PCを持ち運ぶ機会が増えてきたと思います。だから、PCスリーブは重要なピース。エイブルキャリーでは、ウレタンを使ってかなり分厚く作っています。それに、下までつかないようにデザインしており、床に置いても、PCが接地しないようにしていて、衝撃で傷つけないようにしています」。

PCスリーブだけでなく、そのほかの細部にもこだわりを詰め込む。「ストラップをAフレームのような形に成形することで、中身が空っぽの状態でも形が変わらないようにもしています。形が崩れていると、見栄えもよくないので。ここも重視しています」。

軽さ、強度、撥水の3拍子を揃えた生地。

「エイブルキャリーでは、船の帆でも使われているX-PACという生地をよく使っています。これは4レイヤーになっていて、1層目が生地を保護するため、2層目がX上にクロスして型作りと強度の確保、3層目が防水、4層目が防水を保護するためのもの。使っていて破れにくく、軽さと強度と撥水性という面を考慮して、最適なのがコレだと思い採用しています。他ブランドのものはだいたいがコーティングだけで終わっているんですけど、エイブルキャリーは防水生地を使い、さらにコーティングをしている。だから撥水効果も高くバッグとしての強度も高い。日本のような雨と湿気が多い国には便利かなと。電車からオフィスの15分くらいだったら問題ないと思います。

エイブルキャリーは耐久テストを何度も繰り返し、強度にもこだわり、丈夫で快適なバックパックを開発している。「だから、簡単に生地が破れるようなことはありません。また、A-Flame(エイフレーム)という独自デザインを用いており、1本で繋がっている紐をバックの底でクロスさせることによって、軽く感じられる設計になっています。中身が重くなっても、快適に背負えるように作られています」。

Able Carry-Thirteen Daybag-X-Pac Black-Front
Able Carry-Thirteen Daybag-X-Pac Black-Hanging
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サーティーン・生地にはX-PACを使用。コンパクトな設計でありつつ、13インチのPCがすっぽり入る日常使いとしても最適なデザイン。女性からの支持も厚い。[H43×27㎝×D17㎝]1万8000円
 

防水生地+コーティングでも、完全防水というわけではない。豪雨に長時間さらされたら、もちろん浸水してしまう。そういった場面でも、使えるようにエイブルキャリーではバックパック以外のアイテムも展開する。「先にも話したとおり、1日中雨にさらされたらアウト。だからエイブルキャリーでは、レインカバーも展開しています。バックパックがすっぽりハマるようになっているんだ。ほかにも、クーラーバッグも展開していて、最初は自分用に作ったんだけど、周りからの反響が高く商品展開を決めました。仕切りがあって飲み物を収納するのに便利だし、仕切りを外せば、お弁当とかも入る。しかも、サイズはエイブルキャリーが展開するバッグパックにちゃんと入るものになっている。バックパックをデザインしたいというよりは、人々の毎日をサポートしたいという気持ちが強いんです」。

最後に今後の展望を聞いた。「毎日使える通勤用のバッグ、週末用のお出かけ用のバッグとして、これからもいろんな人のライフスタイルをサポートしていきたい。もっといろんな用途で使ってもらえるようにしたいので、ラインを増やしていきたいと思っています。近々だと、年末から年明けにかけて生地やデザインをアップデートした改良版を日本で発表する予定です。あとは、情勢もちょっと落ち着いてきたので、もっと日本に来たいかな(笑)」。


〈お問い合わせ先〉
エイブルキャリー
ablecarry.com/en-jp

エイブルキャリーのブランドイメージムービーはこちら。

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