レコード愛を貫くコレクターの部屋。【パート3】

音楽好きが集めるコミュニティスペースや、カルチャーの場にはレコードがあることが多い。そうやってレコード文化に慣れ親しんできた人も多いという。今回コレクターとして取材させてもらった八木さんも、どうやらその一人のようだ。

 

1枚のレコード盤が繋ぐ
音楽や人との出会い。

思春期は『Fine』とともに過ごしたという八木さん。とくに当時の新譜やライヴ、クラブイベントの情報を得るのに熟読していたとのこと。コレクションは大半がヒップホップで、サンプリングソースとなったジャズやソウルも数多く揃えている。「高校生時代のバイト先の店長がヒップホップ好きでした。ヒップホップもDJも、ちゃんと触れたのは彼との出会いがあったから。すごく大人に見えて、カッコよかったな〜」

 

初めて購入したレコードは、ピート・ロック&C.L.スムースの2ndアルバムだ

 

「ターンテーブルを買ったらいろいろ教えてやる」と言われ、稼いだ初めての給料13〜14万円すべてを注ぎ込み購入。約束どおりレコード屋やクラブ(当時はゆるかった!)を紹介され、出身地・熊本のコミュニティ&カルチャーにどんどんと浸かっていったという。「今でもレコード屋に通っています。新宿、渋谷、大宮。劇場がある街にはディスクユニオンがあるんですよ。行くたびに中古盤が入れ替わるほどの在庫量だから、探している盤がないか、チェックしていますね」

 

ターンテーブルはテクニクス。高1の時、初めてのバイト代で買ったもので、かれこれ25年以上の付き合いだという

 

これだけあってもレコードを掘り続ける。その理由はどこにあるのか。「もともと収集癖があるみたいで、1枚の盤からレーベルやサンプリングソース、コミュニティと、繋がりをたどり、レコードを掘るのが好きなんですよ。それもデータではなく、リアルなものに出合いたい。ほら、世代的にマッチングアプリより合コンのほうがいいでしょ?(笑)」

 

80年代後半~90年代初頭のミドルスクールものをとくに収集中
現在もたまに芸人仲間のイベントに参加し、DJを楽しんでいる

 

マイベストはこの1枚!

『迷走 -アナザー・メイズ-』
DJクラッシュ

1980年代後半に原宿・ホコ天でもプレイしていた、日本のDJ第一世代のひとり。今なお現役で活躍する彼の作品の中でも、1995年リリースの3rdアルバムが大好きだという。「濃いというか……ドープでめちゃカッコいいんですよ。この方の名前がある盤は絶対に買いますね」

 

 

話を聞いたのは……
八木 崇さん

芸人

1982年生まれ。お笑いコンビ・うるとらブギーズとして活動する。2019~21年キングオブコント決勝進出。スケートボードとアイスを愛しているそうだ

 


photo : Hiroki Nakayama(IL NIDO.STUDIO)、 Tomoo Shoju(BOIL)、 Yuya Yoshimoto text : Shuhei Sato edit&text : Yuta Yagi

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