舞台やテレビなど幅広く活動する歌舞伎俳優・尾上右近さん。活動の原動力となっていることだけでなく、今気になっていることやハマっていることについても教えてもらいました。
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話を聞いたのは…… 尾上右近さん
1992年生まれ。7歳で歌舞伎座『舞鶴雪月花』で初舞台を踏む。12歳の時に二代目尾上右近を襲名。古典から新作まで、幅広い役をこなす |
自分の心を楽しませる。
それが人生の充足感に!
芸事に心血を注ぐ姿と端正なマスクで多くの歌舞伎ファンを魅了している尾上右近さん。伝統を受け継ぐだけではなく、新しい世代にも歌舞伎の魅力を広めるべく日々邁進する〝原動力〟は、どこから湧き出てくるのだろうか。
「とにかく自分が好きなことをやっているということに尽きますね。歌舞伎でも、歌でも、プライベートでも。自分が好きという感覚に素直でいたい。これはおもしろそう! と、ワクワクすることが多いとすごく充足した気持ちになる。舞台に立つ以外でも、たとえば映画を観る、絵を描くといったことも自分の心を楽しませることに繋がっていますよ」
マーベル作品が好きで
観ているとワクワクしてくる。
大人気のマーベル作品にも心がワクワクするお気に入りがあるそう。「デッドプールが好きですね。すごくポップな世界観ですが、人間味も感じられて、観ているといとおしい気持ちになる。難しいことを抜きにして楽しいと思える映画ですが、余韻もしっかりあるのがポイント。内輪オチのギャグもしゃれていて楽屋であれ観た? と話していますね」
「日本映画も大好きでとくに座頭市は何度も見返しています。ハードボイルドがすさまじくて、見終わった後もなかなか興奮が冷めない(笑)。映画やエンタメのおもしろさって、それぞれ受け取り方が違うと思うのですが、それは歌舞伎も同じ。いろいろな演目やスタイルがあって、伝統を重んじたもの、エンタメ性を全面に出したものなどさまざま。ファッションに置き換えると、すごくフォーマルなものもあれば、スポーツウエアや気楽なルームウエアまでそろえている感じ。歌舞伎のそうした一面を世代問わず多くの方に知っていただくためには、まず着心地のよいルームウエアもあるということを伝えたいですね。自主公演はそうした思いが届けられる大切な場所。今回はポスターの題字も先生に教わりながら自分で書きました。書までやられるんですね、と言われることもありますが、とんでもない(笑)。付け焼刃もいいところですが、その積み重ねが自分の色になっていくのだという思いは、一貫しているつもり」舞台に立ち続けるために。
【Information】
尾上右近自主公演 第九回「研の會」DVD
発売日:12月中旬
photo : Hideyuku Seta hair & make-up : Storm text : Keiko Kodera