CATCH THE WAVE 〜人生の波に乗る!〜 人物列伝 FILE#3

取り扱いが難しく、これまで業界で使われてこなかった素材を用いた新たな挑戦をしている老舗アパレル企業。その難しいチャレンジに力を投じる4代目に話を伺った。強い意志と困難を追い風に変える強さ。それこそが深井さんの魅力だ。

お話を聞いたのは…

KAPOK JAPAN
深井喜翔

住:大阪府吹田市千里山東1-7-18
☎︎:06-7777-1477
Insta:@kapok_knot_jp

 

 

サステナブルな
新素材の力を信じて。

カポックという植物をご存じだろうか? 観賞用としても人気の高いその木は、硬い殻を持つ実をつけるのだが、実の中には種子を守る綿が含まれている。その繊維を素材として使うことに興味を持ち、単身で生産国のインドネシアに渡って農園とゼロからコンタクトを取ったことが、深井さんがカポックジャパンを設立したキッカケだという。「老舗アパレル企業の4代目として繊維業界に身を置いていた私は、アパレル業界による大量生産・大量廃棄という負のシステム、またそれによる社会的な弊害をたくさん目の当たりにしてきました。そんな中、とある資格の勉強中にカポックに出会ったんですよ。実にユニークな素材で、ダウンの代替品になり得るパワーを持っている。人生を懸けて取り組むべき素材だと感じました」

メリットが多い繊維素材をなぜアパレル業界が今まで使わなかったかというと、ズバリ加工が難しいから。しかし深井さんは特殊技術を用いた加工方法を採用し、デザインしやすいシート状にすることに成功。それにより、たった5㎜でダウン並みの暖かさを誇るエシカルダウンカポックが誕生した。「この製品のすばらしさを多くの人に知ってもらうために立ち上げたのが、カポックノットというアパレルブランド。クラウドファンディングを募り、とりあえず1期だけのつもりでしたが、想像以上のいい反響をいただけまして……。今も継続して頑張っているところですね」

 

カポック繊維は中が空洞になった中空構造のため非常に軽く、その重量はコットンの約8分の1。そのうえ湿気を吸って暖かくなる性質を持つ。植物繊維だが、実から採れるものゆえ、伐採も不要。インドネシアに自生するその木は、少ない水で育ち強い農薬も必要としないそうだ。

 

 

素材の特性上、冬向けの製品が多いというが、最近ではブランケットが大好評。カポック繊維を詰めたロープを編んだニット構造とカポック繊維自体の中空構造の効果で、寒い時期は暖かく、温暖な時期でもさらっと快適だ。このような通年使える製品を開発したことで、生産の安定や雇用創出も可能となったという。「これで体制が整いました。使う人、作る人、環境。すべてに寄り添うカポックのよさを、季節を問わず世界に届けるべく、頑張っていきます!」カポックジャパンの第2章は今まさに、スタートしたばかりだ。

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