愛車に乗って海や山、街中で爽やかな風を感じる……そんな心地よいツーリングを楽しめる季節がやってきた。雰囲気マシマシのレトロな復刻モデルや、ハイテク感あふれるレーシングウォッチなど、選ぶ腕時計の種類はさまざまだから、自分好みを見つけてみよう。
タグ・ホイヤーのアイコニックなタイムピースに、 70年代に使われたH字型ブレスを施した!
時計のケースサイズは、時代とともに変化する。時計がアクセサリーとして楽しまれるようになってからはケースが大型化していったが、その反動もあってか、再び40mm以下の小径モデルも増えつつある。今回紹介するタグ・ホイヤーのモナコは、1969年にデビュー。世界初の角形防水スポーツウォッチというアバンギャルドなモデルだったが、誕生から年以上経った現在では、ちょうどいいレトロ感があり人気を集めている。また39mmの角形ケースは、腕なじみがいいだけでなく、しっかりと存在感もあってさりげない着こなしのアクセントとしても使えるのだ。加えてSSブレスモデルなら 頑丈かつ水にぬれても問題ないから、海辺でも時計を気にすることなく遊べるのも嬉しいところ。
そもそも、このモデル名は南ヨーロッパの地中海に臨む公国、モナコが由来。そこではF1やラリーのレースが開催されたり、強豪サッカーチームがあったり、ヨットレースも盛んだったりと、アクティブ派と相性がいい国なのだ。 心地よい風を感じながら、海岸沿いの道を自転車で走る。それだけでも十分最高だが、モナコという名の由来や歴史的背景を感じながら腕元に着ければ、よりテンション高くツーリングできそうだ。
アザータイプにも注目だ!
モナコは腕時計の歴史を語るうえで欠かせない、重要なマスターピースといわれている。1969年に誕生した初代モデル は、世界初の自動巻き式クロノグラフムーブメント、クロノマチックを搭載する画期的な腕時計であったのだ。そしてこのモデルは、レース映画の金字塔『栄光のル・マン』で名優スティーブ・マックイーンが着用し、いっそう知名度を高めることに。この傑作は当時の角形ケースをほぼそのまま継承するが、中身は現代的にアップデートされており、使いやすい仕様になっている。現在の主力モデルには、約80時間の連続駆動を実現する高性能な自社製ムーブメント、ホイヤー02を搭載する。ともに“タグ・ホイヤー モナコ キャリバー ホイヤー02 クロノグラフ”。自動巻き、SSケース、ケースサイズ縦39×横39mm。
1968年のシグネチャーモデルをモダンにアレンジしたハミルトンの1本!
小径ケースと復刻モデルは相性がいい。というのも、腕時計の黄金期といわれる1960年代のメンズウォッチは、36mmくらいのケ ース径が主流だった。復刻する場合、サイズを大きくすることもあるが、オリジナルの雰囲気を崩さないためにも40mmに収まるようにデザインされていることが多い。ハミルトンの〝アメリカンクラシック イントラマティック オートクロノ〟もそのひとつ。1968年に誕生したオリジナルモデル〝クロノグラフA〟はケース径が36mmだったが、搭載ムーブメントが大型化したことでケースも拡大した。それに合わせて、時位置の分積算計や時位置のスモールセコンドインダイヤルなども大きくなったが、バランスよくまとまっている。また、ダイヤルの優しげな淡いグリーンでもレトロ感を後押しする。 ブレスレットはミラネーゼタイプで、これも60年代に流行したスタイル。耐水性や耐久性が高いだけでなく、軽やかで洒脱な雰囲気があるのも魅力的だ。
全体的に60年代の空気感をまとっている腕時計だから、たとえばデッドストックの古着を着てクラシックカーでドライブ、なんてシーンにはぴったり。小径ケースのモデルを着けてとことんレトロ感を満喫するのは楽しそうだ!
バリエーションも見てみよう!
鉄道時計の名門として知られるハミルトンは、第2次世界大戦時には米軍にミリタリーウォッチを提供するなど、タフウォッチに定評があるアメリカ発祥の名門。現在は生産拠点をスイスに移しているが、歴史的な背景を大切に守りながら、バリューの高い時計を作っている。アメリカンクラシックコレクションは、1930年代の優雅なアール・デコ様式を取り入れた普遍的なデザインを持っており、いつまでも愛せる魅力がある。歴史的傑作が多いハミルトンでは、復刻モデルにも力を入れているが、特にこのクロノグラフの人気が高い。すべて“アメリカンクラシック イントラマティック オートクロノ”。自動巻き、SSケース、ケース径40mm。
チタンの堅牢&軽量なケースと、大型ボタンを備えエドックスのレーサー仕様時計!
コンマ何秒を争うモータースポーツの世界では、正しく勝敗をジャッジするために正確な計時技術が不可欠。判定側だけでなく、出場チームもまた適切なレース戦略を立てるべくラップタイムを計測している。そのため、モータースポーツ会社と時計会社が関係性を築くケースが多く、レースに特化した時計が数々作られているのだ。
レーシングウォッチとしてまず求められるのは、時刻はもちろん、計測時間をすばやく読み取れる視認性の高さ。さらには激しい運転中に使用するため、軽さや肌当たりのよさといった着用感も必須だ。それに加え、計測機器としても使われるので、ボタンの操作性のよさも重要になってくる。この〝クロノラリー エクストリーム パイロット リミテッドエディション〟は、そのすべてを兼ね備えた、ハイスペックでタフなレーシングウォッチなのだ。また、ケースの素材には頑丈かつ軽量なチタンを採用しているから、ドライブする際の時計としてだけでなく、キャンプなどのアウトドアシーンでガシガシ使っても壊れる心配はない。
タキメーターやインダイヤル、大型プッシュボタンなどが備わったレーシーで男心をくすぐる時計を着ければ、いつもの運転も少し違った気分で楽しめるだろう!
アザータイプも要チェック!
“タイミング フォー チャンピオンズ”をスローガンに掲げ、さまざまなスポ ーツの公式計時を担当するエドックスは、1884年に創業した老舗。スポーツウォッチを得意としており、モータースポーツ関係ではクロノラリーのほかに、ダカールラリーに関係するモデルも製作している。本モデルは、ダート路面にジャンプ台などが設置された過酷な道を走り抜くラリークロスというジャンルのレースで使用されることが想定されているので、頑丈なチタンケースを採用するなどタフさにも力を入れているのが特徴だ。“クロノラリー ワールドラリークロス スペシャル エディション”には、2色のカラーバリエーションがあるが、どちらも華のある色合いなので、手元のアクセントとしても活躍してくれるだろう。とも にクオーツ、チタンケース、ラバーストラップ、ケース径48mm、100m防水。
写真/正重智生(BOIL) 文/篠田哲生