レコード愛を貫くコレクターの部屋。【パート4】

レコードは親子のコミュニケーションツールにもなるらしい。今回教えてくれたトヨダさんは親子で楽しんでいるらしい。一人で音楽を楽しむことが増えた今、音楽をコミュニケーションツールにできるレコードにはサブスクにない価値がある気がする。

 

レコードは子どもとの
触れ合いに必須のツール。

照明デザイナーとして世界で活躍するトヨダさんは、レゲエのセレクターとしても名の知れた存在だ。2000枚を超えるコレクションのほとんどがレゲエで、60年代後半にイギリスで生まれたボスレゲエと呼ばれるマニアックなジャンルの作品を好んで集めているとのこと。「思春期を過ごしたハックニーという街には、ジャマイカからの移民が多く住んでいた。そのため日常的に聞こえてくる音楽は今でいうレゲエがほとんど。中学生のときにターンテーブルを買って以来、僕の音楽の原点であるレゲエばかりを買い集めているんですよ」

 

部屋の中には、家族で集めた音源がズラり

 

ジャマイカで生まれ、モッズやスキンズなどの英国カルチャーと出合い、独自の発展を遂げたというボスレゲエ。70年代には世界中に広がっていくのだが、トヨダさんが好むのはその黎明期の作品だ。「とくにトロージャン・レコードという伝説的なレーベルから発売された68〜69年の作品が好み。デジタル化されていない音源が多く、レコードで聴くしかない(笑)」

 

敬愛するレーベルの盤の数々。特に68~69年ものを収集しているという

 

音楽のデータ化が当たり前の現代で、形として所有できるレコードは、トヨダさんにとって特別な存在だという。その理由はこれまたレコードが大好きな2人の息子の存在が大きいそう……。「彼らとレコード屋に出かけて、夜は手に入れた音源を家族みんなにお披露目する。そんな休日が最高に幸せ。こうした楽しみ方もレコードならではの醍醐味ですよね」

 

息子たちは英才教育が実り、DJプレイもお手のものだ

 

レゲエと密接な黒人文化も好む。コチラは黒人サーファーにフィーチャーした写真集

 

マイベストはこの1枚!

『ラプチャー Ep 12’’』
コフィー

現行で選ぶならレゲエの新星、コフィーがイチ押し。2019年の出世作はグラミー賞にも輝いた。「現代のジャマイカ音楽には物足りなさを感じますが彼女は特別。伝統的なレゲエを体現していて、その歴史や魅力を次世代に繋げてくれる存在ですね」

 

話を聞いたのは……
トヨダ ヒロトさん
照明デザイナー

1982年生まれ。12歳の時に家族で渡英し、25年ほどロンドンで生活。2018年に家族で帰国した後は、東京をベースに照明デザイナーとして活動している

 


photo : Hiroki Nakayama(IL NIDO.STUDIO), Tomoo Shoju(BOIL), Yuya Yoshimoto text : Shuhei Sato edit&text : Yuta Yagi

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