今と昔をつなぐミュージックバーの名店。

レコードの流れる心地よい店内で大好きなお酒やツマミを味わう。若者を中心に人気爆発中のミュージックバーは、その代表的な場所として注目されている。その中でも渋谷にあるグランドファーザーズは、今どきを取り入れつつも懐かしさを残してきた名店のひとつだ。

 

レコード係を極めつつ、
新しい音楽も取り入れていく。

GRANDFATHER’S
グランドファーザーズ

奥:オーナー兼レコード係の石川徹さん。1972 年にアルバイトとして入店。2代目のオーナーであり、現在もレコード係としてリクエストを織り交ぜながら選曲を行っている 手前:ジャーナルスタンダードでクリエイティブプランナーとして活躍する高山祐介さん。常連客として足繁く通う

 

地下に降りて扉を開けた瞬間、昭和のモダンなバー空間が広がっている。渋谷駅から原宿方面に向かって明治通りを進んですぐの雑居ビル地下1階。ここにあるのがグランドファーザーズだ。インテリアの配置や明るさなど、すべてが長い年月とともに完成されたミュージックバーの名店のひとつ。近年は外国人や若いお客さんがどんどんと増えてきているそうだ。「1971年にオープンしました。当時のミュージックバーは渋谷が中心地。そのときの渋谷はまだ未開発のエリアでした。主に青山学院の学生が遊んでいましたね」とオーナー兼レコード係の石川さんは語る。レコード係とは選曲担当者のことで、昔からジャズ喫茶などでよく使われていた名称だ。「先代のポリシーはビルボードを中心にLP盤の中から1曲ずつ、寡黙にかけるスタイル。それを今も継承していますよ」。約2000枚のレコードは、ロックやソウル、ポップスなど、70年代のヒットチャートが多く、曲名とアーティスト名を紙に書いて渡せばリクエストに応えてくれるという。

 

「うちは居酒屋のように従業員からお客さんに話しかけることはありません。なぜなら音楽で話しかけてるから……」と語る石川さん

80年代後半、時代はCDへと移り変わるが同店はレコードにこだわったという。新譜が手に入りにくい状況が続いたが、2010年を境にレコード人気が徐々に復活していく。以来、ブルーノマーズやジョンメイヤーのような、お店の主軸である70年代サウンドと相性のいい音楽も流れるようになった。「新しい音楽も取り入れないと、レコード係として成長しないからね」と常に最新の音楽をチェックしている。一方、常連客の高山さんは「会社が近いので仕事終わりやDJをする週末に来ることが多いそうだ。混雑していても落ち着いて飲めるとても大事な場所ですね」とのこと。長い歴史を持つだけに親子3代で来店しているお客さんもいるとか。なお、ここに来たらオリジナルの定番メニュー〝あたりめ〞をオーダーすることをお忘れなく。

 

 

思い出の1曲について
オーナーに聞いてみた。

I FEEL THE EARTH MOVE / CAROLE KING
アイ・フィール・ザ・アース・ムーヴ / キャロル・キング

1971年に発売されたキャロル・キングのアルバム『タペストリー』に収録された1曲を選んだ石川さん。「僕がアルバイトとして入社したのは1972年ですが、当時は毎日のようにこの曲がかかっていて……。こんな人がいるんだ! って素直に驚いた思い出の1曲なんですよ」

 

 

 

この店でよく流れる
3曲を教えてもらった。

こちらはお客さんからのリクエストが多い3曲。ロックの次はソウル、男性ボーカルが続いたら女性ボーカルなど、どんなお客さんがいても満足できるようにバランスよく石川さんが選曲している。

 

LAYLA / ERIC CLAPTON
レイラ/ エリック・クラプトン

 

 

 

 

BETWEEN THE SHEETS
/ THE ISLEY BROTHERS
ビトウィーン・ザ・シーツ
/ アイズレー・ブラザーズ

 

 

HOTEL CALIFORNIA
/ EAGLES
ホテル・カリフォルニア
/ イーグルス

 

 

 

名物スタッフ
吉野さんにも注目!

副店長
吉野武志さん
2002年、上京と同時に入店。寡黙ながら魂は熱いところが魅力的だ。メインバーテンダーであり、石川さんがお休みの日はレコード係も務めているという

 

 

思わずダイヤルを
回したくなる公衆電話。

昔懐かしいピンク電話が現役で活躍中。 10円玉を集めて投入し、お気に入りの子をお店に誘えば想いがかなっちゃうかも!?

 

【SHOP INFO】
GRANDFATHER’S(グランドファーザーズ)

住:東京都渋谷区渋谷1-24-7 渋谷フラットビルB1
☎:03-3407-9505
営:17:00~翌2:00
休:月曜
HP:grandfather.jp/shibuya

 


photo : Tsutomu Yabuuchi text : Eizaburo Tomiyama

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