「自分の立ち位置を見つめ直す楽曲」シンガーソングライター・DinoJr.の2023年をSpotifyまとめとともに振り返る。

オーディオストリーミングサービスSpotifyが、例年、年末に公開する「Spotifyまとめ」。

2023年によく聴いた曲を集めた自分だけのプレイリスト「My Top Songs 2023」では、この1年でどんな音楽を聴いたか、振り返ることができる。

Fine Onlineではアーティストや編集者、サーファー、モデルなど、各業界のキーパーソンにSpotifyまとめから今年1年を振り返ってもらった。

第4回目は、シンガーソングライターのDinoJr.が登場。

昨年3作目のアルバム『NO MAN IS AN ISLAND』をリリースし、様々なアーティストのプロデュースを行っている彼。今年は「Rakuten Fashion」のCMソングも手掛け、今業界が注目するアーティストの一人だ。

そんな彼は2023年、どんな音楽を聴き、どんな日々を過ごしていたのだろうか。

1991年、千葉県出身のシンガー・ソングライター。台湾人の父と日本人の母もつ。“Dino”は父親の英語名から。独特の甘い声質とファンキーなグルーヴを絡めた作風が特色。2016年に『DINOSENSE』でアルバム・デビュー。2020年に2ndアルバム『2091』を発表。「RWY ft. 吉田沙良」で名を広め、精力的に楽曲配信を行なう。2022年11月に3rdアルバム『NO MAN IS AN ISLAND』をリリース。2023年にはラッパー・Kingo、7人組のバント・Black petrolとライヴイベント『anthem』を敢行し、同名を冠した楽曲「anthem」を発表した。

 

2023年を振り返ると、自分と音楽の関係性を見つめ直す、人生において大事な一年になったなと思います。

昨年は3枚目のアルバムをリリースしたこともあり、ただひたすらに音楽に没頭し、結果的に満足いくものをリリースできましたが、音楽に一直線になりすぎて、周りが見えなくなる瞬間もありました。

今年は自分の制作を一旦休んで、アーティストのプロデュースをしたり、CMソングを手掛けたり、周りのアーティストのライブのサポートをしたりと、自分の音楽を誰かのために役立てることができたので、社会とのつながりを感じることができました。

昨年とは違い、音楽のために生活するのではなく、生活という土台があって、音楽があるという当たり前のようで、見失いがちなものを、しっかりと認識した大切な1年でした。

トップアーティスト

2023年のSpotifyまとめをみると、自分の楽曲や自分の周りのアーティストがランクインしているのがわかります。特に、KingoとBlack petrolのラッパーSOMAOTAとは今年3人で楽曲を出したこともあり、制作期間中に何度も繰り返しよく聴いたなという印象があります。

Kingoは昨年の夏に出会ったラッパーで、すごく早いセンテンスをラップするスキルと、英語と日本語を縦断しながら言葉一つひとつが突き刺さってくるリリックセンスが魅力のアーティストです。

とてもまっすぐな人間性に惹かれ、これまでに2人で曲を作ったり、彼の楽曲をプロデュースしたりと、彼と出会ってからすぐにグッと距離を詰めて、公私ともに行動してきましたね。

 

トップソング

SOMAOTAはそんなKingoとはまた別な魅力があるラッパーで、はじめてみたときに、自由自在に、流動的にリズムを乗りこなしてラップしていて、とても存在感を放っていました。リリックも、抽象的で文学的で、読めば読むほど奥が深いんですよね。友達のシェアハウスに遊びにいったら彼もいて、しかも自分のデモにラップをしたいと言ってくれて、そこから親交を持つようになりました。

まとめにランクインしているBlack petrolも彼が所属している7人組のバンドで、個性的な2MCとジャズを基調にした自由自在な音楽がとてもかっこいいバンドです。

今年は僕とKingoとSOMAOTAの3人で、anthemというイベントを東京と大阪で開催して、オリジナルの楽曲「anthem」も作りました。会場に入り切らないほどパンパンにお客さんに来ていただいて、3人の個性的な表現を観ていただけてとても嬉しかったですね。

DinoJr.として、これまで3枚のアルバムを出して、自分がやりたい表現を本当に好き勝手詰め込んだので、来年は自分のクリエイティビティを保ちつつ、もっと時代や空気感みたいなものにアンテナを張って、ちゃんと世の中と共鳴するような作品を出さなきゃいけないなと。社会があって、自分の生活があって、それらを大切にした上で、アーティストとしての表現を模索していきたいですね。


写真/丸益功紀(BOIL) 文/高山 諒

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