【American Automobile!】1968年式 プリムス ロード・ランナー

300台以上のクルマを乗り継いできたIKURAさんが、アメ車の魅力をお届けする当連載。ついにアメリカンマッスルカーにおける名車が、満を持して登場するよ!

 

 

今回のヴィンテージカーはこちら!
1968年式 PLYMOUTH ROAD RUNNER
プリムス ロード・ランナー

爆音エンジンで虜にさせる
マッスルカーの名車。

爆音を轟かせて現れたのは、1968年式のプリムス ロード・ランナー。クライスラーから登場したこのクルマは、同社が展開するマッスルカーを総称するモパーの代表ともいえる名車だ。1928年に誕生したプリムスブランドのクルマとして、1968年に市販化。マッスルカーでありながら、その名の由来はアニメだ。「ルーニー・テューンズ」という作品をご存知だろうか? そのキャラクターであるロード・ランナーの名を冠している1台なのだ。

「由来を聞くとカワイイけど、このクルマに載っている426ヘミエンジンは強烈。当時オプションでこのエンジンが選べたんだけど、430馬力あるからレースでかっ飛ばせるよ。エンジンだけで500万円ぐらいの価値はあるんじゃないかな?」

そう語るIKURAさんだが、実はモパーにはあまり縁がなかったとか。「ローライダーとかに行っちゃったから……。でも改めて見るとイイね〜。この手のクルマはオリジナルで乗るのが一番いいと思う。このクルマもナンバーズマッチだからね」。

 

ボディのサイドにあしらわれたロード・ランナーのキャラクターロゴ。「当時5万ドルほどをコラボ料としてワーナー・ブラザースに支払ったそう。足が速いキャラなので、このクルマにピッタリ!」

 

人気車とあって、価格もそれなりとか。「アメリカ本国でも、この状態でこのエンジンなら10万ドルはするんじゃないかな。日本国内だと、これ1台しかないんじゃない?」。プリムスブランドからは、ロード・ランナーのほかにもバラクーダやニューヨーカーなど、人気モデルが数多く販売されている。アメリカンマッスルカーの象徴とあって、アメリカ国外に流出させるのを嫌う人も多いそうだ。「トランプ大統領も日本でアメ車を売りたいなら、こういうのを輸出してくれればいいのに……(笑)

幅広のタイヤで持ち上がったテール。前下がりのスタイルは、まさしくアメリカンマッスルカーだ。「テールランプのデザインが実にカッコいい! 一体型ランプなら、もっといいよね!」

 

「このクロームメッキが最高なんだよね」。426ヘミエンジンは、アメリカンマッスルカー乗りなら誰もが憧れる。「400馬力超えの加速は強烈。このままの状態でドラッグレースに出られるよ」

 

オトコ受けは抜群!
でも女子ウケはイマイチ。

ロード・ランナーのほか、バラクーダやニューヨーカー、さらにダッジ・チャージャーやダッジ・コロネットなど、モパーにはマッスルカーの名車が揃っている。「硬派なイメージが強いよね。いかにもオトコのクルマって感じがするよ。マフラー音もうるさいし。でも、この426ヘミエンジンは、いざ乗るとすっごい気持ちよく回ってくれる。クセがないから、運転しやすいよ」。とはいえ、ひと踏みすれば爆音が鳴り響く。「まぁ、オンナにはモテないね。快適とは言えないから。それに、こんな爆音のクルマに女の子乗っけて街を走ってたら、目立ってすぐにバレちゃうじゃん(笑)。ほら、今はすぐに写真に撮られちゃう時代だから……。その点、やっぱ70年代のセダン系の方がしっとりしてエロいんだよ。車内も広いから色々デキちゃうからね!」

若者向けに作られたロード・ランナーは豪華な装備などを省いており、車内は実にシンプル。「潔いんだよなぁ。でもこれぐらいシンプルなのもカッコいいよ」。それでいて、ロード・ランナーのキャラクターロゴがあしらわれていたりと、お茶目な一面もあるのがこのクルマの魅力。「オリジナルペイントなんだけど、この独特なクリームカラーがまたいいんだよ。欲を言えば、テールランプがセンターも光るとよりカッコいいよね」。一般的なアメ車というと、ロード・ランナーのようなマッスルカーをイメージする人は多いはず。それだけに人気もあり価格も年々高騰しているようなので〝入手するならなる早で!〞が鉄則のようだ。

 

若者向けのクルマとあって、ベースモデルで当時3000ドルを切る価格で販売された。「だから内装も実にシンプル。必要なもの以外はついてないって感じが、オトコらしい」

 

エンジンフードには、サイドに向けてデザインされたスリットが。「実はこれ、ただの飾り。穴が空いてないんだもん。若者向けだったから、こんなマッスルなデザインがウケたんだろうね」

 

Profile:
IKURA
これまで300台以上のクルマを乗り継いできた生粋のカーマニア。日本最大級のアメリカンカスタムカルチャーの祭典「アメフェス」の主催者でもある。そのほか、ミュージシャンやタレントとしても活躍している
HP:ikura61official.com/

photo : Takaharu Tsuchiya(TUCCI)  text : Masafumi Yasuoka

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