日本最大級のアメ車イベント、アメフェスを主催するIKURAさんが名車をナビする新連載が本誌でスタート！ 1960〜70年代のクルマを中心に紹介していく企画で、今月はIKURAさんが23歳で初めて買ったというモンテカルロをピックアップしてもらった。その魅力、本誌だけで済ませてしまうのはもったいない！ ということで、Fine Onlineでも紹介していくよ〜！
古くても壊れないし壊れたら直せばいい!
「ワンオーナーで外装も当時のまんまオリジナル状態。泥よけなんかも残ってておもしろいでしょ」と言って76年式モンテカルロで登場したIKURAさん。実は約束時間になっても姿を見せなかったので、古いクルマだから途中で故障したのではないかと心配していたところだった。「40年以上前のクルマなのに、4万3000マイルしか走ってないからコンディションがめちゃくちゃいいんですよ」とこちらの心配を一蹴。古くなくてもアメ車は壊れやすいとよく耳にする。しかも、そのアメ車の中でもクラシックモデル。いくらコンディションがよくても、普段使いできるほどなのだろうか……。「壊れないですよ。それに、病気になって放っておく人っていないですよね。だからクルマが壊れたら直せばいいだけ。アメリカのすごいのは、40年経った今でもパーツが全部出てくるところ。70年代のクルマだって新車状態に作り直すことができますよ」と満面の笑みを浮かべ、アメ車好きがヒシヒシと伝わってくる。「僕は70年代のアメ車が好きで、特にこのインターミディエイトっていう、スポーツカーでも4ドアセダンでもない、中途半端なモデルが好きなんですよ。国産車にたとえるならカローラクラス。小さな大衆車」というわりには、モンテカルロはずいぶんと車幅は広く、フロントが長い。「昔も色違いのモンテに乗ってたんですよ。サイドの独特なプレスラインが好きで。友達と飲んでるときに、いつかまた買いたいって話したら、『フロリダにこんなのがあるよ』って画像を見せてくれて。昔乗っていたモンテは77年式の最終モデルだったけど、この76年式も好き。だから『これ、いいねえ』って、酔った勢いで買っちゃったのが去年の2月のこと」
「僕は70年代のアメ車が一番好き。フロントはベンチシートで広々してるのに、なぜかリヤシートは狭い。モンテはインターミディエイトっていう、スポーツカーでもセダンでもない中途半端なクラスですね」
「エルカミーノとかマリブとか、70年代当時のモデルはメーターまわりのディテールがみんな似てるんですよ」
「安心安全の手まわし。壊れて閉まらなくなるのが一番困るからね」。パワーウインドウのグレードも存在する
「レザーもキレイに残ってる」という屋根の切り替え。当時流行したスタイルで、ドアウインドウの横枠となるBピラーがない2ドアクーペだ
「40年以上の時を経ても、ハンドルはオリジナルのまんまで樹脂が割れずに残ってました」。同系色のレザーを巻き、雰囲気をアップ!
初めてのアメ車がモンテカルロだった。
今の基準では5人乗車でき、スーツケースを2つ積載できて高速道路を走れるコンパクトカークラス。70年代もインターミディエイトはコンパクトカーに属するが、現代に比べ排気量も車格も一回り大きかった
「23歳のときにモンテを買ったんですよ。当時はデビューしたばかりでお金がなかった。90万円で売っていたモンテも、中途半端なモデルで人気がなかったから40万円にしてもらえて」。時代はバブル期直前でスポーツカーが大流行していた。「スポーツカーは見過ぎていたし、子どものときにプラモデルで作り過ぎてたから飽きちゃってた。そんなときにローライダーとかチカノカルチャーとかを知っちゃったんですよ。特にメキシカンの白人でも黒人でもない感じが、ちょっと日本人っぽいとこもあるじゃないですか。そういうのが僕にはものすごく新鮮に見えたんですよね」。バブルが終わったころには、ローライダースタイルのアメ車が横浜あたりで闊歩するような流行となるが、それを先取りというか、タネをまいていたのがIKURAさんだった。「原動力は『いかにすれば女の子にモテるか』ですね(笑)。サーフィンを始めたり、スノーボードを始めたり、バンドをやってリーゼントにしたり。誰も見向きもしなかった六本木に遊びに行っていたのも10代から。ディスコブームが来る前で、やがてサーファーナイトとかのディスコイベントをやるようになった時代。そんなころに乗っていたのがモンテですね」
「当時はアルミホイールとかホイールキャップとか3種類のホイールがあったんですけど、僕はこのスタンダードな鉄製ラリーホイールが好き」
「僕が最初に買ったモンテカルロは77年式だからテールレンズが若干違う。でもこれはこれでいいんですよね」。わずか1年でも仕様が異なる
初代はヘッドライトが丸レンズ。「僕は73年から発売の2代目、この縦目2段レンズが好き」。大量生産車とは思えないフロントまわりのデザインが魅力的だ
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〈Profile〉 IKURA 井倉光一 |
写真/土屋崇治(TUCCI) 文/野上真一(SIESTA PLANET) 撮影協力/オーナー・井倉光一
