300台以上のクルマを乗り継いできたIKURAさんが、クラシックなアメ車の魅力をお届け。記念すべき10回目は彼のアメ車人生における原点であるサンダーバードが登場!
今回のヴィンテージカーはこちら!
1966年式 FORD THUNDERBIRD
フォード サンダーバード
青春時代がよみがえる
アメ車黄金期の名車!
1本につながったテールライトを見て、「いやぁ、あのころを思い出すなぁ」とIKURAさんが感慨深く語る。「子どものころに近所をこのサンダーバードがよく走ってたのよ。テールランプがすごくカッコよくて、いつかは絶対に乗ってやるって思ったね。まぁ、いわばオレのアメ車人生の原点ってヤツ」
フォード サンダーバードは1955年に初代が登場。当初は2シータースポーツカーをコンセプトとしたが、その後需要の変化を受けてプレミアムGTカーへと舵を切った。「1966年式は一応高級車という枠組みに入るかな。1964年式に乗ったことはあるけど、1966年式の方がスッキリとして洗練された印象だね。当時としては斬新なデザイン。縦目ライトが多かったんだ」
クラシック過ぎず、モダン過ぎない、絶妙なデザインは本国ではマニアックな人気を誇るとか。「これはカリフォルニアで見つけたんだけど、現地ではめちゃめちゃ人気ってわけじゃない。いわゆる通好みなクルマなんだよね。それでも価格は年々上がってる」。電動の三角窓、高級感たっぷりなレザーシートなど、随所にラグジュアリーな要素が見て取れる1台。「内装が宇宙船っぽいところも当時らしい。リアシートもコーナーが丸くなっていたりして凝ってるよね。まぁ、今見るとスナックのソファっぽいけど……(笑)」。そのフォーマルなルックスとは裏腹に、積まれた390V8ビッグブロックエンジンは実にパワフルで、少しアクセルを開けるだけで、けたたましい音を響かせる。
細部まで作り込まれた
大人に似合うアメ車の代表。
70年代のビッグセダンと比べれば、全長5270×全幅1960㎜というややコンパクトなサイズ感。そのため、ギリギリ都内でのドライブも可能だ。とはいえ、女性からの支持は期待できなさそうでもある。「若い子にはモテないだろうね。でも、オヤジが乗ってるとカッコいいよ。落ち着いた大人のアメ車って感じだね」。その流麗でシャープなフォルムは横から見るとよくわかるのだとか。「ボディが基本的に薄いんだよね。一方でキャビンは背が高くて座ると広々としている。その独特なフォルムがカッコいいんだよ」。
今回のクルマは1964〜1966年式の第4世代。その一方で、第3世代の1961〜1963年式は、丸みが強くて少しだけぽってりとした印象だ。IKURAさん曰く、1966年はちょうどデザインにおける転換期だそう。「それまでのスポーツカー路線からセダンに路線を切り替えたころ。70年代のカクカクしたでっかいフルサイズに向かい始める時期だね。そういった転換期のアメ車って独特なデザインが多い。だから、マニアックなファンもいっぱいいるんだ。俺も1968年式のサンダーバードに乗ってたけど、デザインは1966年式の方がいいね」
15歳の時に出会ったアメ車を、時を経て手に入れたというIKURAさん。「まさに出会いだね。それだけいい女ってこと(笑)」と言いつつ、細かいところを仕上げたら、また新しいクルマを手に入れるつもりとか。「いい女を手に入れても、結局目移りしちゃう。オトコってそんなもんだから(笑)
photo : Hideyuki Seta text : Masafumi Yasuoka cooperation : Blue Auto