sacaiコレクターが話す、NIKE × sacaiのサンプルと現行品の違い!

サンプルとは、いわば試作品。製品化するまでにブランドとメーカーがあーでもないこーでもないと言いながら、試行錯誤する段階を示したものだ。

今回は、sacaiのトップコレクターである古角さんにお力を借りて、NIKE × sacaiのサンプルを拝借。現行品と比較して、サンプルの魅力に迫る!
 

\聞いたのはこの人/
Profile:
古角優介さん
sacaiのトップコレクターとして、毎シーズンほぼすべてのアイテムを収集しながら、ときにはサンプルまで購入する。
insta @kokady_0523

 

集めてわかる、sacaiの解釈のすごさ

 
そもそも僕がsacaiに魅了されたのは、好きなものを好きな時に好きなように着るというブランドの理念に感銘を受けたから。服って自分で選べるものである一方で、トレンドにも左右される自由と不自由さが相まったジャンルのものだと思うんですよね。


NIKE VAPORWAFFLE sacai

[販売品]:現在でもさまざまなカラーが発売される、代表的なモデル。「実はソールの変更と同時に名称はサカイ ペガサス ヴェイパー フライというものになりました。その紆余曲折あって現在の名前になったみたい」
 

ただ、sacaiに出合ったとき「好きなように服を着なよ!」と、背中を押されたような気がして、魅了されていきました。もちろんそれは服のみならず、スニーカーにもいえます。


NIKE sacai PEGUSUS VAPOR FLY

[サンプル]:2019年発表のNIKE × sacai LD ワッフル成功後、続編となる靴の制作に取り掛かったsacai。「クラシカルなペガサスをベースにし、ヴェイパー ネクストを組み合わせて最初のテストサンプルを作成。このハイブリッドモデルは当初、ペガサス ヴェイパー フライと名付けられてたんですよ。オールブラックのアッパーに、メッシュとパテントレザーの異素材を組み合わせ、前作よりさらにモード色の強いスニーカーとして誕生しました。その後、よりエッジの効いたソールデザインへ変更され、名称も変わりました」
 
サイズは阿部千登勢が履くためか、女性用の大きさに。側面には管理番号も記され、シュータンのタグは切り取られた跡があるなど、実際にサンプルとして用いられた痕跡が見られる。ちなみに至極シンプルなのはあくまで機能面を確かめるテスト用だからだとか
 

そもそもNIKE含め、今まで65種類のスニーカーがリリースされているのですが、再構築を想起させるものが多い印象。sacaiの服自体も既存の服と服を組み合わせて、新しい服を生み出していこうよ、という姿勢であり、デザイナーの阿部千登勢さんがもともとCOMME des GARCONS(コム デ ギャルソン)でパタンナーをしていた経験が生きているのだと思います。


NIKE VAPORWAFFLE sacai

[サンプル]:街中でもちらほら履いている人を見かける、ヴェイパー ワッフルの人気カラーがこちら。ツアー イエロー/スタジアム グリーン。「その中でもスクラップになったカラーがこちらのサンプル。2020年のパリ ファッションウィークで初お披露目となったこのスニーカーは市販品と比べ、色鮮やか。というのも市販でイメージしているカラーだとランウェイのライティングでは暗く見えてしまう可能性が。そのため、実際のものよりもハイトーンのカラーを指定することが多いんですよ。ちなみにサイズはモデル用となっていて、sacaiではランウェイ用に26、29cmを指定することが多いようですね」
 
[販売品]
 

[販売品]
[サンプル]
カラーは見てのとおり、サンプルの方が数段ハイトーンに。プルストラップに入ったナイキのスウッシュも販売時には下部へ移動されている
 

その“再構築”が、NIKEとのコラボで一番発揮されているなと。なかでも、ヴィンテージの古きよきNIKEのモデルに試作を重ねてきたのが、sacai × NIKEの代表的モデルでもあるLD ワッフルだと思います。

これが跳ねるに跳ねて、自分自身コラボスニーカーにも惹かれていきました。これをきっかけに、もっと知りたい、集めたい欲があふれ、サンプルモデルまで集めるようになってしまったわけです……。


NIKE sacai CLOT LD WAFFLE

NIKEとsacai、さらにCLOTのトリプルコラボ。「実はこの並びで、CLOTのデザイナー、エディソン・チェンがSNSにアップしていたこともあるんですよ。この右2足のサンプルは、セミ ファイナル サンプル フューエル(SEMI FINAL SAMPLE FUEL)と名付けられ、デザイン最初期段階のもの。FUEL=燃料と書かれているとおり、ここからさまざまなアイデアが付け足され、販売品へと変わっていくわけです。エディソン・チェンの最終確認のために作られたこのモデルは左右のデザインが異なり、どちらのデザインも生かされていたというのがわかりますね」
 

[販売品]
[サンプル]
販売品とは素材の違いはもちろん、ヒール部分のカラーパターンやディテールに違いが見られる。ちなみに生産されたのは2足だけとか
 
でも、そうやって人気の靴のもとになっているサンプルのモデルを調べていったり、実際に手元に残したりすると、そのスニーカー自体のルーツを知ることができるような気がしています。スニーカーがデキ上がるまでのヒストリーを感じられるといいますか。

今では、いろんな方のお力をお借りしまして、普通じゃ手に入らないようなアイテムまで到達してしまいましたね(笑)。


写真/丸益巧紀(BOIL) 文/ニッセンシュウ

Category記事カテゴリ

TOP