音楽好きが集めるコミュニティスペースや、カルチャーの場にはレコードがあることが多い。そうやってレコード文化に慣れ親しんできた人も多いという。今回コレクターとして取材させてもらった八木さんも、どうやらその一人のようだ。
1枚のレコード盤が繋ぐ
音楽や人との出会い。
思春期は『Fine』とともに過ごしたという八木さん。とくに当時の新譜やライヴ、クラブイベントの情報を得るのに熟読していたとのこと。コレクションは大半がヒップホップで、サンプリングソースとなったジャズやソウルも数多く揃えている。「高校生時代のバイト先の店長がヒップホップ好きでした。ヒップホップもDJも、ちゃんと触れたのは彼との出会いがあったから。すごく大人に見えて、カッコよかったな〜」
「ターンテーブルを買ったらいろいろ教えてやる」と言われ、稼いだ初めての給料13〜14万円すべてを注ぎ込み購入。約束どおりレコード屋やクラブ(当時はゆるかった!)を紹介され、出身地・熊本のコミュニティ&カルチャーにどんどんと浸かっていったという。「今でもレコード屋に通っています。新宿、渋谷、大宮。劇場がある街にはディスクユニオンがあるんですよ。行くたびに中古盤が入れ替わるほどの在庫量だから、探している盤がないか、チェックしていますね」
これだけあってもレコードを掘り続ける。その理由はどこにあるのか。「もともと収集癖があるみたいで、1枚の盤からレーベルやサンプリングソース、コミュニティと、繋がりをたどり、レコードを掘るのが好きなんですよ。それもデータではなく、リアルなものに出合いたい。ほら、世代的にマッチングアプリより合コンのほうがいいでしょ?(笑)」
マイベストはこの1枚!
『迷走 -アナザー・メイズ-』
DJクラッシュ
話を聞いたのは……
八木 崇さん
芸人
1982年生まれ。お笑いコンビ・うるとらブギーズとして活動する。2019~21年キングオブコント決勝進出。スケートボードとアイスを愛しているそうだ
photo : Hiroki Nakayama(IL NIDO.STUDIO)、 Tomoo Shoju(BOIL)、 Yuya Yoshimoto text : Shuhei Sato edit&text : Yuta Yagi