300台以上のクルマを乗り継いできたIKURAさんが、アメ車の魅力をお届け。 今回はアメリカンフルサイズSUVにおけるアイコンと言える名車が登場するよ。
今回のヴィンテージカーはこちら!
1994年式 CHEVROLET SUBURBAN
シボレー サバーバン
とにもかくにもデカイ!
アメ車とはこうあるべし。
撮影場所にうなりを上げて走り込んできたシボレーサバーバン。全長は5.6メートル、幅は1.メートルを誇り、巨体が動く様はド迫力だ。「これは1994年式で、サバーバンの8代目だね。今まで年式とか年式とか、年代のサバーバンを5台は乗ったかなぁ」。シボレーのサバーバンといえば、1935年から続くSUVの名モデル。エンジンは7.4リッターの8で、3列シートによって9人が乗車することができる。「若い時はよくサバーバンでスノボやサーフィンに行ったよ。ボードが楽勝で積めるしね。この角張ったフォルムが、年代って感じ。9代目になるとちょっと丸くなるんだよ。90年代のサバーバンは、内装も見どころ。なんていうか、可愛いんだよなぁ」。3列目のシートは着脱が可能で、2列目も倒せば大人が3人並んで寝られるほど広々だ。「これがあれば、ホテルに行かなくて済むよ(笑)。もはやワンルームだね」。それも、若い時に数々乗り継いだ理由とか。

90年代のサバーバンは今でも高い人気を誇るが、状態が良い1台を探すのはかなり困難らしい。「ヴィンテージカーと違って、実用で乗る人が多かったしね。これは完全なオリジナルペイントで、シートのヘタりもまったくない。これだけ状態が良い1994年式のサバーバンは、日本にはもちろん、本国アメリカにも、いや世界中を見てももはやないと思うよ」。その希少性は、今後高まるばかり。「懐かしさもあって、この1台と出合った瞬間に欲しくなっちゃったんだよね」と、購入を即決したそうだ。


ネオクラシック市場で
今後も注目度上昇が確実。
90年代にはローダウンやウーファーといったカスタムが流行したサバーバン。一方、大統領の警護車やSWATのクルマとしても有名だ。「ゴツくてタフ、それでいて走りもいい。99年式に乗った時はコンピューターをいじって、時速ウン出したこともあるよ(笑)」。今回撮影した1台は、購入時にはすでにややローダウンされていたとか。「やっぱりローの方がカッコいいよね。デカさが際立つ気がするよ。現実的にコレぐらい大きいアメ車は、これから先なかなか出てこないだろうし。特に日本では、まず需要がないと思うよ」。実際に目にした印象は、ほぼ路線バス。都内の駐車場は、フロントがややはみ出すもギリギリ枠内に入れることは可能だが、そもそも駐車場内で切り返しができないので入庫自体が困難だとか。「でもね、いざ運転すると角張ってる分見切りがいいんだよ。窓もデカいしね。大きなクルマを運転したことがある人なら、意外にすぐ慣れるよ」。

90年代のサバーバンの相場は、米国で3万ドル程度。ただし、IKURAさんが所有する1台と同じ程度の場合は、相場関係なく欲しがる人によりけりとか。「まぁ、ガソリン代はハンパないけど(笑)。だいたいリッター7キロぐらいかなぁ。スキーに頻繁に行ってたときは、1カ月に1000リッターは入れてたよ(笑)」。かなりの食いしん坊だが、それさえもサバーバンの魅力だ。

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Profile: IKURA これまで300台以上のクルマを乗り継いできた生粋のカーマニア。日本最大級のアメリカンカスタムカルチャーの祭典「アメフェス」の主催者でもある。そのほか、ミュージシャンやタレントとしても活躍している HP:ikura61official.com/ |
photo : Hideyuki Seta
text : Masafumi Yasuoka