岡田義徳が話す、古着と『THE 3名様』の関係性。

Fine4月号(2024年)の古着企画で、岡田義徳さんに30年来通う古着屋:ラボラトリー®️に連れて行ってもらい、自身の古着のルーツについてインタビューを行った。これは同号の古着企画で都合上、掲載できなかった話と、5月24日20時〜スタートする『THE 3名様Ωプロジェクト2024』の話。


岡田義徳(俳優)・1993年、バラエティ番組『浅草橋ヤング洋品店』で芸能界入り。20代には浅野忠信らとバンドを組み、ドラムスを担当。数々の作品で俳優として活躍する傍ら、子ども服ブランドKOUのディレクションを担当したりと活躍の場は多岐にわたる

好きと気恥ずかしさが入り混じる
NIRVANA Tシャツ

編集:本日着用しているロンTしかり、バンドTはどのくらい持っているのでしょうか?

岡田義徳(以下、岡田):この前、断捨離したばかりで自分に必要なTシャツを20枚ぐらいにしましたね。NIRVANA(ニルヴァーナ)は2枚しか持っていないです。これとすごい好きなアルバムのIn Utero(イン・ユーテロ)のTシャツだけ。

編集:バンドTというと、好きなアーティストのみを買うのか、聴いていなくてもデザインとしていいものを買うのか、岡田さんはどちらですか?

岡田:基本、聴いているアーティストのものしか買わない。

編集:やはりそこには矜持があったり?

岡田:音楽をやっていた人間としてはそうかもしれない。やっぱり好きだから着る。だから、1番持っているのはRAGE(レイジ)かな。5枚ぐらいは持っていますね。

1991年に発売された、ロック史に残る名盤NEVERMIND(ネバーマインド)は、プールで赤ちゃんが泳ぐ姿のジャケットが有名。古着界隈ではそれをプリントしたTシャツがもっぱら流通するが、タイダイ柄をあしらったこのデザインは目新しい
 

編集:その反面で、バンドTをおしゃれとしてとらえている人も増えましたよね。

岡田:だから今、NIRVANAを着るのはちょっと恥ずかしい。好きなんですけど、一般の目に触れすぎて、特にニコちゃんマークとかはね。いわゆるロゴだけのものではなく、どこをまわったとかがバックに入ったツアーTだったり、当時の空気感をまとったものが好きかもしれないですね。


『The 3名様』はTシャツも見どころのひとつ

編集:バンドTでいうと、劇中でまっつん(役・岡田義徳)がよく着ているイメージがあります。

岡田:あれはスタイリストが用意してくれて。AC/DCがメインで、今回も何枚か着用しましたね。

編集:気になるファンもきっと多いと思います。バンドTしかり、あの一言コメント系しかり。

岡田:原作者の石原まこちんさんがすごく音楽好きなんです。特にSKA(スカ)がめちゃくちゃ詳しくて、オススメのアーティストを教えてもらったりしていて。昔、僕がOperation Ivy(オペレーション・アイヴィー)というバンドが好きで、まこちんさんにその旨を伝えたら、Operation IvyのTシャツを着たまっつんの絵が送られてきたこともあり、すごくおもしろいことをしてくれる方です。

編集:粋ですね。作品の中でもバンドTとメッセージTは多いですよね。特に目を引くのは陰キャですかね。

岡田:あれはもうテッパンとして残していて、今回ももちろん着ましたし、全体的にスタイリストさんと一緒におもしろいTシャツをいっぱい選びました。

©石原まこちん/フジテレビ

編集:まっつんはもちろん、ジャンボ(役・佐藤隆太)はアメカジ風、ミッキー(役・塚本高史)はホストっぽい感じで、全員の服装もおもしろいですよね。

岡田:今回は特にスタイリングに時間をかけて、この話のときはこれを着ようよ、みたいな話をみんなで話し合って凝りました。で、ミッキーは今回モードっぽい感じなんですよ。ヘタしたら、モード系のファッション誌の表紙飾れちゃうんじゃないかみたいな(笑)。みんなしてかっこいいねって話してましたよ。

そういう意味では映画のポスターはけっこうヤバい仕上がりになっていますね。ある作品をオマージュしてアニメ風に落とし込んでいるので、こちらも注目してほしいかな。ファミレスのみで繰り広げられているのに、ポスターはけっこう壮大なので(笑)。


妥協なき無駄なクオリティ

編集:2022年に映画化されていますが、DVDのみで発信してきた『THE 3名様』がドラマ&映画化。感慨深いところがありますか?

岡田:2022年の映画もあって、リュウタ(佐藤隆太)から、今回はドラマでやりたいって言ってきて。今、単純にバカやってるドラマが減っているよねって。それで今回夢が叶った感じ。引き続きDVD化も性懲りなくするんだと思いますよ。

©石原まこちん/フジテレビ

編集:いい親父たちがビッグボーイで変わらずバカをやるわけですね(笑)。『THE 3名様』のおもしろいところは、バカらしく風刺するサマだと勝手ながら思っています。今回もそれを感じられる作品になっていますか?

岡田:前作ではリモートを取り入れ、今回も時代性をうまく組み入れています。しっかり台本を決める段階から、僕らも入っていて、現場であーでもないこーでもない言いながら、短い時間の中でもどれがおもしろいかを、いっぱいチョイスしてきました。

編集:それこそ前作のメイキングを拝見して、みんなで作っている感があるなと。

岡田:今回はよりそうかもしれない。映画含め、33本撮っていてえげつなかったですね。オムニバスのように切っていくサザエさん方式なので、大変。

©石原まこちん/フジテレビ

編集:覚えるというより、反射神経的なところがあるのかなと思いました。

岡田:いや、それが覚えているんですよ。アドリブではなくて、あくまで台本。視聴者さんにはそこを勘違いされないようにしてほしいな。

撮影時の思い出はひたすらセリフを合わせて、小休憩、セリフを覚えて、本番の繰り返し。そんなことをしていたら、段々トランス状態になってきて、何がおもしろいかがわからなくなってくるんですよ。だから、現場のいろんな人にこれどうかな、とか聞いたりして。いったん外に出て、初心に戻ろうみたいなこともして。

編集:一般的なドラマの撮影とはちょっと異色なわけですね。

岡田:そう。コントでもないし、何がおもしろいのか、っていうのは人それぞれ違うわけだから、本当にいろんな人に聞いて、1人でも違うと言われたらやめようってなったり。それが成り立つ現場だったから、キツい以上に幸せと感じられましたね。

あとは、今回ドラマ化ということもあって、できること含め、クオリティを上げたいとスタッフさんに言ったら、カメラマンがめちゃくちゃいい機材を持ってきて。海外のこの映画の色にしたいみたいなことを言って、照明を青にしたり、オレンジにしたりして、無駄にクオリティが高いです(笑)。

編集:あくまで、舞台はファミレスの1卓ですもんね(笑)。

岡田:ベタッとした画でいいと思うんですけど、奥行きのあるちゃんとした映画のように撮影しているので、そこもちょっとおもしろいところかなと思います。

編集:最後に、楽しみにしているファンにひとことお願いします。

岡田:布団のなかで観るぐらいでいいかなと思います。で、たまにうるさいって思う回があるので、そのときは素直に寝ていただいて、昼間のテンションがいいときに見てもらえると。配信も映画もそのくらいの気持ちでゆるく見ていただけると嬉しいですね。また、今回も、前回同様にクラウドファンディングをやらせていただいています。みなさまにお会いする場を設けられるように、3名様ファミリーになるために、どうか力を貸して頂けると幸いです。

Informaiton

出演・佐藤隆太/岡田義徳/塚本高史/小林大介/桃月なしこ/安藤玉恵 他
 

『THE 3名様Ω2024プロジェクト』
5月24日(金)20 時~ 新作連ドラがFODで配信開始、8月30日(金) 映画『THE 3名様Ω〜これってフツーに事件じゃね?!〜』が新宿バルト9含む全国の映画館でロードショー(配給・ポニーキャニオン)

19年前に一世チョイ風靡した『THE3名様』が、Ω(オメガ)となって帰ってきた。3人がファミレスの1卓で繰り広げる1話3本立てのオムニバスショートムービー。内容のないゆる〜くテンポのいい掛け合いは健在。ただ、これまでのシリーズと違うのは、ドラマ、映画ともにゲストの出演が決定されていること。特に映画版では大物ゲストというウワサだ。まだFODをダウンロードしていない人は、とりあえずアプリをおとすところから準備しておこう。


写真/池村隆司

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