海オトコは共感せずにはいられない、 サステナブルファッション!

サーフィンをするなら、キレイな海に入るほうが気持ちいいに決まっている。僕らの大切な遊び場を守るためにも環境問題に目を向けて、できることから行動し始めていきたいところだ。例えば、買いものをするときに地球に優しいウエアを優先的に選んでみる。これなら、誰でも簡単にできるよね。ここで取り上げるオーシャンフレンドリーな3アイテムには、きっとシンパシーを感じられるはず。

深刻さを増す海洋汚染に一石を投じるフリース!

GRAMICCI
グラミチのレス・マイクロプラスチック認証フリースカーディガン

パイピングやポケットを別布で切り替えた、リズミカルなデザインが印象的。ライニングはメッシュ仕様で、不快なムレを感じることもない。1万4080円(インス 0120・900・736)

 ポリエステルやナイロンをはじめとした石油由来の化学繊維は生活とは切っても切れないものながら、一方で深刻な海洋汚染を引き起こしている。洗濯の際に洋服から出る“繊維くず”が、マイクロプラスチックとして家庭排水から海へ流れ出るのがその主たる原因。流出する繊維量は、年間でおよそ50万トン(ペットボトル500億本分)にもなるという。
 そんななか、現状を改善するためのプロジェクトも発足しており、2020年に始動したLMP(レス・マイクロプラスチック)プロジェクトもそのひとつだ。同プロジェクトでは、一般販売されている化学繊維製品から脱落するマイクロプラスチックの量を測定。脱落量の平均値を割り出し、それに対して50%未満の繊維脱落量に抑えた製品にLMP認証を発行している。さらにこのプロジェクトではLMP認証の基準を満たす生地開発も自ら実施。多角的に海洋汚染改善へのアプローチを行っているのだ。
 今回紹介するグラミチのフリースカーディガンは、プロジェクト内で開発されたLMP認証のリサイクルフリース生地を使ったもの。市場の平均値を大きく下回る繊維脱落量を実現しているが、この“繊維の強さ”という特徴は保温性や耐久性といったパフォーマンス面にも直接的に結びついている。しかも、今っぽいゆるっと大きめのシルエットだから、着心地もコンフォート。こんなココロもカラダもポカポカになれるフリースなら、毎日だって身に纏いたくなりそうだ。

化学繊維の中でも平均繊維脱落量が特に多いことが測定で判明しているフリース。だからこそLMP認証のモノを選ぶことは、キレイな海を守るために大事な一歩となるはずだ

ゴミのリサイクルが生んだユニークな文字盤に注目!

ORIS
オリスの再生プラスチック時計

再生プラスチック製のカラフルな文字盤を持つ“アクイスデイト アップサイクル”。自動巻き、SSケース&ブレス、ケース径41.5㎜、300m防水。27万5000円(オリスジャパン 03・6260・6876)

 2022年で創業118年目を迎える老舗時計ブランドのオリス。スイス産の時計メーカーとしては手の届きやすい価格帯ながら自社製ムーブメントを搭載するなど、高いコストパフォーマンスで人気を誇る。
 そんなオリスはかねてから、海洋環境の保護を支援する活動を行ってきた。たとえば、地球温暖化の影響により白化が進む、オーストラリアにあるグレート・バリア・リーフのサンゴ礁を守るために、“グレートバリアリーフ リミテッドエディション”を発売。同モデルが1本売れるごとにオーストラリアの海洋生物保護団体へ支援金を寄付した。ほかにもモルディブやメキシコ周辺の海を保護する目的で限定モデルを製造し、関連団体などへ支援を行った実績を持つ。
 こちらのダイバーズウォッチも、オリスのそうした海に対する愛情が注ぎ込まれた1本だ。“アクイスデイト”をベースに、カラフルな特別仕様のダイヤルを装備。まるで大理石のようなこの模様はペット樹脂をリサイクルする工程で生まれるランダムなパターンで、世界にひとつだけのデザインとなっている。もちろんダイバーズウォッチとしての性能も文句なし。セラミック製の逆回転防止ベゼルやねじ込み式のリュウズに加え、インデックスと針には夜光塗料のスーパールミノバを塗布。暗闇での視認性も確保している。海の環境に配慮しつつも、デザイン&機能性の高いこんなダイバーズウォッチは、持続可能性が求められるこれからの時代にうってつけのアイテムといえるだろう。

オリスは数年前から海洋環境の保全活動を行う非営利団体“エバーウェーブ”と提携。海に漂うプラスチックゴミを回収し、ろ過するプラットフォームの支援を続けている

生地もパーツも中綿も! そのすべてが再生素材!

WASTED COLLECTIVE
ウェイステッドコレクティブのリサイクル中綿ジャケット

表地はリップストップ組織でタフ。裾のドローコードに付いているビーズは、海の廃棄物を再利用したブランドのアイコンだ。7万400円(ウェイステッドコレクティブ thewastedco.jp)

 表地のみならず、中綿からパーツまですべてにリサイクル素材を行き渡らせたこちらのジャケット。なんと全体の98%以上(!)が廃棄物由来の素材で構成されているのだから驚きだ。手掛けているブランドは、バリ・LA・東京の3カ所にデザインチームを擁するウェイステッドコレクティブ。一昨年デビューしたこの国際派ブランドは、“穏やかな自然”をイメージソースにサステイナビリティを落とし込んだ日常着を展開している。
 そのエコに徹底注力した素材使いは舌を巻くばかりだが、実用性やデザインのバランスがよいのも特筆点だ。たとえば実用面で印象的なのは、耐久性撥水加工の高機能なペットボトルリサイクルクロス。悪天候の日でも快適だし、野外シーンにだってスムーズに調和してくれるはずだ。また、再生ファイバーを用いた中綿はボリュームがすっきり抑えられ、レイヤードがしやすくなっている。エコアイテムというとデザインが素朴であっさりめなものが少なくないが、その点に関しても今作は心配ナシ。ブランドロゴのリーフをモチーフとしたキャラ立ちなキルティングにより、ビーチ映えするこなれたデザインに仕上がっている。
 大好きな自然を守るために、環境に優しい洋服を手に取ること。それは間違いなく有意義なチョイスといえるが、ずっと愛用するならデザインや機能だって捨て難い。全部まるっと欲張りたいなら、エコ・デザイン・スペックが三位一体となったこの1着は間違いなく最適解だ!

ブランドの多くの製品で使用されるのは、海洋廃棄物を原料とする再生素材。スピンドル部のカラービーズも海から回収したゴミが原料で、バリの工房にてアップサイクルされている

文/辻 康太郎、山崎 諭(04)

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